カテゴリー別アーカイブ: 判例

相続人全員の同意なしは不可 小規模宅地の特例―国税不服審

相続により取得した土地について、租税特別措置法(平成22年法律第6号)第69条の4「小規模宅地等についての相続税の課税価格の計算の特例」第1項に規定する特例を適用して相続税の申告をしたところ、原処分庁が適用対象の土地を取得した相続人全員の同意がないことから、適用は受けられないなどとして更正処分および過少申告加算税の賦課決定処分をした。 続きを読む

非流動性ディスカウントは不可 原決定を棄却―最高裁

非上場会社において会社法785条1項に基づく株式買い取り請求がされ、裁判所が収益還元法を用いて買い取り価格を決定する場合に、当該会社の株式に市場性がないことを理由とする減価(非流動性ディスカウント)を行うことの可否が争われた抗告事件で最高裁判所第一小法廷は、非流動性ディスカウントを行うことはできないと判断、1審決定を取り消すとともに、原決定を破棄した。 続きを読む

馬券を巡る所得税の取扱い 所基通34-1改正へ-国税庁

国税庁は、競馬の馬券の購入を機械的、網羅的、大規模に行っている場合に、(1)払戻金は一時所得と雑所得のいずれに該当するか(2)所得金額の計算上控除すべき金額は、的中した馬券の購入費に限られるか否か、が争われた訴訟において、馬券購入行為の態様や規模等によって払戻金は雑所得に該当し、外れ馬券の購入費も控除すべき旨の判決を受け、その概要や今後の対応等について公表した。 続きを読む

損益相殺的な調整をすべし 会社側の敗訴確定―最高裁

急性アルコール中毒で急死したソフトウエア開発会社の社員の相続人らが、急死したのは、長時間の時間外労働等による心理的負荷の蓄積によって精神障害を発症し、正確な判断能力を欠く状態で飲酒をしたためだと主張して会社に対し、不法行為または債務不履行に基づき損害賠償を求めた事案で、最高裁大法廷は原審に続き会社側の上告を棄却、会社側の敗訴が確定した。 続きを読む

上告を棄却、原判決を踏襲 相続預り金請求事件で最高裁

委託者指図型投資信託の受益権の共同相続を開始したあとに元本償還金等が発生、預り金として同受益権の販売会社の被相続人名義の口座に入金された。その場合、共同相続人の1人が自己の相続分に相当する金員の支払いを請求できるのかについて 最高裁第二小法廷(山本庸幸裁判長)は、同預り金債権は当然に相続分に応じて分割されないなどとして上告人の請求を棄却した原審の判断を是認、上告を棄却した。ただし、原審がその判断を下す折に用いた論旨は採用できないとした。  続きを読む

増額分に延滞税発生しない 相続税で原判決を破棄―最高裁

相続税について減額更正がされたあとに増額更正がされた場合に、増額更正によって増額された税額に係る部分に関し、相続税の法定納期限の翌日からその増額された税額の納期限までの期間に係る延滞税が発生するかどうかが争われた事案で最高裁第二小法廷(千葉勝美裁判長)は、全員一致で発生しないと判断、発生するとした原判決を破棄し、第1審判決を取り消した。合わせて、上告人らが請求した延滞税の納付義務が存在しないことを確認した。 続きを読む

パワハラ訴訟で 7200万円支払い判決

昨今、問題になりがちなパワハラ。やった側からすると正当な指導の範囲であるという主張がなされがちだが、この手のハラスメント問題はやられた側がどう受け取るかといった主観的な判断で問題化するかしないかが決まる傾向がある。もちろん、いざ訴訟等になれば、客観的な事実をどう評価するかが問われるわけだが、いずれにせよ問題となりがちな言動は避けた方がいいだろう。 続きを読む

原判決破棄、1審判決取り消す 返還拒否は許されない―最高裁

公序良俗に反する無効な契約により給付を受けた金銭の返還について、同給付が不法原因給付に当たることを理由として拒否できるかどうかが争われた事案で最高裁第三小法廷は、拒むことは信義則上許されないとし、不法原因給付を認容、返還請求を棄却した原判決を破棄するとともに、第1審判決を取り消した。 続きを読む

不服審、納税者の主張認める 来料加工取引のTH税制で

日本法人の香港子会社が中国企業に対して原材料等を無償支給して加工を委託する、いわゆる「来料加工取引」をめぐる事案で、国税不服審判所がタックスヘイブン(TH)対策税制に係る課税処分を取り消す裁決を行ったことがわかった。 続きを読む

マタニティ・ハラスメント 慎重な取扱いが必要

理学療法士の女性が妊娠中の軽易な業務への転換に際しての降格が違法であるとして争っていた裁判で、最高裁判所は適法としていた高裁判決を破棄し、審理差戻しの判決を下した。 続きを読む