カテゴリー別アーカイブ: 判例

複数構造の家屋課税台帳価格 市の評価方法に合理性認める

被上告人は、自身が所有する家屋の平成30年度の評価額について、広島市長により決定され家屋課税台帳に登録された本件家屋の価格を不服として、広島市固定資産評価審査委員会に申し立てた。同委員会はこの申し立てを棄却、被上告人は審査決定の取消しを求めて訴訟を提起した。 続きを読む

交通事故の救援義務の履行意思 臨機な措置の必要性求める

被告人は、2015年3月23日に長野県佐久市内の交差点で、自動車を運転中に15歳の被害者を轢き、その後すぐに車両を停止したが、救護措置を行わず、事故発生の日時や場所を警察に報告しなかった。 続きを読む

『県議会議員選挙の定数配分規定 公職選挙法や憲法に違反せず

本件は、千葉県議会議員の定数及び選挙区に関する条例に基づいて行われた選挙について、選挙人が条例の定数配分規定が公職選挙法及び憲法に違反するとして選挙無効を求めた訴訟。 続きを読む

戦没軍人情報提供への賠償請求 除斥期間経過にて棄却

本件は、靖国神社が第二次世界大戦で戦没した軍人及び軍属の氏名等の情報の提供を受け、それらの者を合祀しているなかで、大韓民国の国籍を有する上告人らが、被上告人に対し、了承も得ずに靖國神社に上告人らの各父親の情報を提供した行為は違法であるなどと主張して、国家賠償法1条1項に基づく慰謝料の支払等を求めた事案。 続きを読む

不正利益による財産の没収 憲法29条違反ならず

本件は、被告人が財産上不正な利益を得る目的で商標法違反の犯罪行為を行い、得た財産を他人名義の銀行口座に預け入れ、犯罪収益の取得を仮装した事案。この預金債権の没収が争点となった。まず、改正前の組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律(以下「法」)13条1項6号が適用され、犯罪収益及び犯罪収益に由来する財産全体の没収が可能と判断されたが、被告人は、正当な経済活動により得た財産の没収が憲法29条に違反すると主張。 続きを読む

インスタ投稿の権利侵害情報 時間的に近接するログイン該当

被上告人は、インスタグラムの投稿により権利を侵害されたとして、本件アカウントへのログインのために行われた8回の通信に関する情報の開示を請求した。 続きを読む

米軍兵の強盗傷害の賠償補填 上告人の主張認めず

この判決は、アメリカ合衆国の軍隊構成員による強盗傷害事件の被害者Aの相続人が、日本政府に対して補償を求めた事案に関するもの。Aは米軍兵2名による強盗傷害事件の被害に遭い、その後がんで死亡。相続人は米兵らを被告として損害賠償請求訴訟を提起し、那覇地裁は損害賠償の支払いを命じる判決を確定。相続人は米国政府から日米地位協定18条6項に基づく慰謝料として約146万円を受け取り、差額として2496万円余のSACO見舞金(日本政府が必要に応じて差額を埋めるために支給する見舞金)の支給を求めた。 続きを読む

事業協同組合の出資持分価 財基通196の評価が相当

請求人は、その主張する相続により取得した事業協同組合の出資持分の価額は、当該組合の定款に定める脱退組合員の払戻金を根拠として組合員の間でも適正価額として流通していたものであるから、当該価額をもって評価すべき旨主張。 続きを読む

大学教員の無期労働契約主張も 任期法の教育研究組織職に該当

大学の教員として勤務していた被上告人が、労働契約法18条1項に基づき、期間の定めのない労働契約(無期労働契約)が締結されたと主張し、労働契約上の地位の確認および賃金等の支払いを求めた事案。上告人は、被上告人が就いていた職が大学の教員等の任期に関する法律(任期法)4
条1 項1 号所定の教育研究組織の職に該当し、無期労働契約が締結されたことにはならないと主張した。 続きを読む

即時抗告提起期間の起算日 送達日基準は弁護人か被告人か

刑事訴訟法316条の26第1項に基づく弁護人からの本件証拠開示命令請求を棄却した原々決定の謄本は、主任弁護人には令和6年8月30日に、被告人本人には同年9月3日にそれぞれ送達され、同決定に対して、弁護人から同月5日に即時抗告の申立てがされたことが明らかとしている。 続きを読む