カテゴリー別アーカイブ: 判例

株券発行前にした株式譲渡 当事者間では交付なくても有効

公開会社でない株券発行会社の被上告人(株)植宗は、(株)植宗エクステリア設立に際し、その株式200株(本件株式1)を引き受け、その後Aに対して譲渡した。被上告人Y1は(株)植宗アクステリアの募集株式310株を引き受け、Bに対して240株(本件株式2)を譲渡し、その後BはCに対して同株式を譲渡した。(株)植宗エクステリアは株券を発行していない。 続きを読む

労働時間の算定困難を巡り 使用者側主張を認める-最高裁

上告人に雇用されていた被上告人が、上告人に対し、時間外労働、休日労働および深夜労働に対する賃金の支払いを求めたのに対し、上告人は、労働基準法38条の2第1項にいう「労働時間を算定し難いとき」(本件規定)に当たるとして、所定労働時間労働したと主張し争われた事例。 続きを読む

医業法人社員の社員総会招集 一般法人法の類推適用せず

医療法人の社員である抗告人らが、当該医療法人の理事長にして社員総会の招集を請求したが、その後招集の手続が行われないと主張して、裁判所に対し、社員総会を招集することの許可を求めた事案。最高裁判所は以下のように判決した。

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共同相続での取得時効の援用 相続回復請求権消滅前でも有効

被相続人Aは、平成13年4月、甥である上告人Yら並びに養子である被上告人Xに不動産等の遺産を等しく分与する旨の自筆証書遺言をして、平成16年2月13日に死亡した。Aの法定相続人は被上告人Xのみ。被上告人Xは、同年翌日以降、所有の意思で本件不動産を占有している。Xは当時本件遺言の存在を知らず、本件不動産を単独で所有すると過失なく信じていて、同年3月、単独名義の相続を原因とする所有権移転登記をした。 続きを読む

虚偽説明商品購入の過失相殺 消費者の相当程度の審理不要

上告人は特定適格消費者団体で、被上告人に対して、虚偽又は事実と著しくかけ離れた誇大な効果を強調した説明をして商品など販売したことが、不法行為に該当すると主張して、本件対象消費者に対して当該商品の売買代金相当額等の損害賠償義務を負うべきことの確認を求めて共通義務確認の訴えを提起した事件。 続きを読む

異なる事実認定で裁決是認 原審に法令違反あり差し戻し

上告人が、職務上の過失によって海難を発生させたとして門司地方海難審判所から裁決をもって小型船舶操縦士の業務を停止する懲戒を受けたため、被上告人を相手に、裁決の取消しを求めた事案。 続きを読む

当選無効時の判決確定前報酬 活動の価値なく全額返還命じる

被上告人は平成31年4月7日の大阪市議会議員選挙に当選、その後令和元年9月6日、公職選挙法221条3行11号等により懲役1年、執行猶予5年の有罪判決を受け、令和2年2月13日に確定した。上告人は令和元年5月分から令和2年2月分までの議員報酬並びに令和元年6月分および同年12月分の期末手当の合計額1001万0611円を支給。 続きを読む

抵当不動産の賃料債権巡る相殺 対抗力認めず原判決を破棄

本件は、建物の根抵当権者であり、物上代位権を行使して賃料債権を差し押さえた上告人が、賃借人である被上告人に対し、当該賃料債権のうち2790万円の支払を求めた取立訴訟。

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出演者逮捕で助成金交付取消し 憲法21条に抵触、裁量権濫用

映画会社である上告人が、被上告人の日本芸術文化振興会法等で定められた独法の理事長に対し、「宮本から君へ」と題する劇映画の制作活動につき、助成金の交付申請をし、交付内定を得た。その後、本件映画出演者の一人がコカイン使用のため逮捕され、有罪判決が確定した。理事長は上記事実関係により国の事業による助成金を交付することは公益性の観点から適当ではないとし、本件交付金を交付しない旨処分したため、上告人が本件取消しを求めた事案。 続きを読む

マンション請負代金回収巡り 請負人への利益侵害認めず

本件マンションは、M社が、敷地利用権付きで分譲販売する計画の下に、本件敷地の所有権を取得の上、被上告人との間で本件契約を締結して建築された。M社は、被上告人に対し、平成28年6月末を期限とする約定の中間金1億5000万円を支払うことができず、同年7月27日、被上告人のために本件敷地に極度額を6000万円とする根抵当権を設定し、その旨の登記がされた。

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