報道によると、土地再開発事業のため取得し当初は固定資産に計上していた土地をその後棚卸資産に振替え、低価法により評価した上で帳簿価額との差額を損金算入していた請求人(不動産の賃貸及び売買業)に対し、当該土地は固定資産に該当するとして原処分庁が法人税の更正処分を行った事案において、東京国税不服審判所はこの処分を全て取り消した。
審判所では、会社法上・金融商品取引法上の規定等を踏まえ「不動産の売買等を業とする法人が販売の目的で所有する土地は商品の性質を有し、棚卸資産に該当する」との考えを示した上で、以下の点を総合的に勘案すれば本件土地はこれに該当すると判断したもの。
1)請求人は、再開発の各段階での調整・助言等による手数料収入を得る目的で事業への関与を決めた 2)土地の売買条件上、土地上に存する施設の営業を一定期間継続せざるを得なかったことなどから一時的に固定資産として会計処理した 3)建物の取壊しを前提とする再開発事業は長期・大規模であり、営業が義務付けられた期間は着手できない状態が継続。本件事業年度に土地が更地になったことを経て棚卸資産に振替えた 4)土地取得後も再開発の検討等を含む業務を行い、並行して持分全てを売却する交渉を行っていた。