一部の区分所有者が共用部分を第三者に賃貸して得た賃料につき生ずる不当利得返還請求権(以下当該請求権)を、他の区分所有者が行使することができるかどうかが争われた事案で最高裁第二小法廷(千葉勝美裁判長)は、原審に続き上告を棄却した。全員一致意見。
同事案は、区分所有建物(マンション)の区分所有者が第三者に共用部分を賃貸して賃料を得たことについて、別の区分所有者がその賃料につき当該請求権に基づき、共用部分に係る持ち分割合相当の金員とこれに対する遅延損害金の支払いを請求、訴訟となったもの。第三者は区分所有者の専有部分を携帯電話基地局として利用。アンテナの支柱やケーブルの配管部分等をそれぞれ共用部分に設置した。
区分所有者が持ち分割合に相当する部分につき生ずる当該請求権自体については、最高裁は各区分所有者に帰属し、原則として行使できるとした。ただしそれは、いわゆるマンション規約にそうした定めがない場合に限られ、当該請求権は区分所有者の団体のみが行使することができる旨の集会の決議または規約の定めがある場合には、各区分所有者は行使することができないとの判断を示した。そのうえで、当該事案ではそうした定めがあるので、区分所有者は当該請求権を行使できないと判決した。
■参考:最高裁判所|不当利得返還請求事件・平成27年9月18日(最高裁判所第二小法廷)
http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=85327