原処分庁が、鋼材等の販売業を営む同族会社が特定の取引先への売り上げを益金の額に算入していないなどとして法人税の更正処分等をしたのに対し、審査請求人が、当該売り上げに係る売上原価の額を損金の額に算入すべきだとして、原処分の一部取り消しを求めた事案で国税不服審判所は、請求人の主張を認め、賦課決定処分の棄却ないし一部取り消しを裁定した。
各事業年度の損金の額に算入されていない売上原価額が存在するか否かが争点となった。不服審は、帳簿書類による以上に客観的信頼性のある資料や計算方法に基づき、仕入れの事実や金額を特定し、仕入れの金額が当初申告の仕入れ金額に含まれていないことや、各事業年度の売上金額と対応することを具体的に主張立証できれば排斥されないとした。
そのうえで▽請求人が提出したノート等による取引の一部については、取引先、取引年月日、取引金額、取引内容等により取引の事実や金額が特定でき、当該取引金額が該当する事業年度の当初申告の仕入れ金額に含まれていないことが認められる▽期首期末の棚卸し金額については、不相当とする理由は認められず、当該取引金額は当該事業年度の売上金額と対応関係があるといえ、当該事業年度の損金の額への算入が相当―と判断した。
■参考:国税不服審判所|請求人から提出されたノート等に記載された取引の一部については、取引の事実及び金額が特定できるとした事例(平成26年12月8日裁決)|
http://www.kfs.go.jp/service/MP/03/0204010000.html#a97