Aの相続開始後、認知によって相続人となった上告人が、Aの子ですでに遺産分割を行っていた被上告人らに対し民法910条による価額の支払いを求める事案で 最高裁第二小法廷は、原審に続き上告および附帯上告を棄却した。これにより遺産の価額算定の基準時は、上告人が被上告人らに対して価額の支払いを請求した23年5月6日、価額の支払い債務が遅滞に陥る時期はその翌日の7日となることが確定した。 続きを読む
カテゴリー別アーカイブ: 判例
原判決を破棄、高裁に差し戻す 信組の退職金請求事案―最高裁
A信用組合の職員だった上告人らが、同組合と被上告人(16年2月に変更される前の名称はB信用組合)の合併により上告人らに係る労働契約上の地位を承継した被上告人に対し退職金の支払いを求める事案で 最高裁第二小法廷は、上告人らの請求を棄却した原判決を破棄し、東京高裁に差し戻した。上告人らの主張する退職金額は、A信組の合併当時の職員退職給与規程における退職金の支給基準に基づくもの。 続きを読む
無申告加算税処分を取り消し 押印のない申告書―国税不服審
相続税について審査請求人(共同相続人の一人)が法定申告期限後に申告書を提出したのを受けて、原処分庁が無申告加算税の賦課決定処分を行ったのに対し、請求人が▽共同相続人は期限内に共同で申告書を提出した▽当該申告書は請求人の押印を欠くものの、請求人の申告の意思に基づいて提出された有効な申告書だ―として処分の全部の取り消しを求めた事案で国税不服審判所は27年4月1日付で、押印がなくても納税申告書としての効力が認められるとし、処分を全部取り消した。他の要件を具備している限り、押印がないことのみをもって効力がないとはいえないとした。 続きを読む
しこりが残りがちな内部通報 意趣返しはトラブルに
企業内の不正行為を内部の者が通報する内部通報は、実態を理解している社員が証拠を抑えた上で行うことが多いため、企業にとってはかなり手痛い事態になりがちだ。場合によっては、それをきっかけに刑事罰を受けることもあり得る。 続きを読む
タックスヘイブン対策税制適用 逆転敗訴で追徴-名古屋高裁
報道によると、名古屋高裁は自動車部品大手デンソーが約12億円の追徴課税取り消しを求めた控訴審判決として、一審名古屋地裁を取り消し、同社の請求を棄却した。 続きを読む
隠ぺい・仮装は認定できず 原処分庁の主張覆す―不服審
審査請求人が、仕入れ先からの棚卸資産の購入に係る取引に関し、当該仕入れ先に対して解約料として支払った金員の額を損金の額に算入したことについて、原処分庁が当該金員の額を棚卸資産の取得価額に含めて申告しなかったことに隠ぺいまたは仮装の行為があったとして、法人税に係る重加算税の賦課決定処分をしたのに対し、請求人が隠ぺいまたは仮装の行為はないなどとして、処分の全部の取り消しを求めた事案で、国税不服審判所は27年6月9日付で、原処分庁の主張を覆し、そのような行為があったとは認められないと裁決した。 続きを読む
原判決破棄が3件、変更が1件 反社会的勢力への融資―最高裁
最高裁判所第三小法廷(大谷剛彦裁判長)は12日、信用保証協会と金融機関の間で保証契約が締結され融資が実行された後に主債務者が反社会的勢力であることが判明した場合、協会の保証契約の意思表示に要素の錯誤があるかどうかが争われた4件の事案について、いずれも錯誤はないとの判断を示した。 続きを読む
育休取得で昇給なし 最高裁までもつれた結果
育児休業の取得は、いまや国是となりつつある気配まであり、休業中の報酬が保障される国会議員まで育休を取る意向を示す状況になっている。事業主としては、育児休業取得者については昇給や昇格でその他の勤務者と差異をつけ たいという意向が少なからずあるようだが、それを実際に実現させるのは考えものだ。3ヶ月間の育児休業取得を理由に昇給や昇格が認められないのは違法であるとして勤務先を訴えていた訴訟で、最高裁第2小法廷は勤務先である病院側の上告を退ける決定をし、病院側に約24万円の支払いを命じた二審大阪高裁判決が確定した。
反訴請求を認容した部分を破棄 東京高裁に差し戻す―最高裁
平成8年から21年までの継続的な金銭消費貸借取引について、8年~12年の取引(第1取引)と14年~21年の取引(第2取引)を一連のものとみて、各弁済金のうち利息制限法(改正前)を超えて利息を支払った部分を元本に充当すると過払金が発生しているなどと主張して、上告人が貸金業者である被上告人に対し不当利得返還請求権に基づき過払金の返還等を求めた(本訴)のに対し、被上告人が第2取引に基づく貸金の返還等を求めて反訴した事案で最高裁第一小法廷は、原判決のうち反訴請求を認容した部分を破棄するとともに、その部分を東京高裁に差し戻した。 続きを読む
踏み込んだ条件で ワタミの過労自殺が和解
居酒屋チェーンワタミの子会社社員が過労自殺したのは会社の責任だとして遺族が起こしていた訴訟で、和解が成立した。一般的にこのような訴訟では、被害者である原告側に支払われる損害賠償額に注目が集まりがちだが、今回の和解内容には被害者のみならず、その他の従業員に対しても弁済する内容となっている点で注目されている。会社指定の図書を購入させ賃金から代金を控除していた件については、該当する新卒社員全員に代金を返還する、研修会やボランティアという名称で、実際には会社が出席を指示したものについては、要した時間分の賃金を当時在籍していた新卒社員に支払うことなどが盛り込まれている。 続きを読む