原判決破棄が3件、変更が1件 反社会的勢力への融資―最高裁

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最高裁判所第三小法廷(大谷剛彦裁判長)は12日、信用保証協会と金融機関の間で保証契約が締結され融資が実行された後に主債務者が反社会的勢力であることが判明した場合、協会の保証契約の意思表示に要素の錯誤があるかどうかが争われた4件の事案について、いずれも錯誤はないとの判断を示した。

その上で、原審が錯誤ありとの判断に基づいて判決した3件のうち、2件については原判決を破棄し、東京高裁に差し戻し、残る1件については原判決および第1審判決の内容を変更した。錯誤なしと判断した別の1件についても原判決を破棄し、同じく東京高裁に差し戻した。

最高裁は錯誤の有無の判断にあたり、「意思表示における動機の錯誤が法律行為の要素に錯誤があるものとして無効を来すためには、動機が相手方に表示されて法律行為となり、もし錯誤がなかったならば表意者がその意思表示をしなかったであろうと認められる場合であること。動機は、たとえ表示されても当事者の意思解釈上、法律行為の内容と認められない限り、表意者の意思表示に要素の錯誤はない」とする過去の判例を踏襲。錯誤なしとした1件は、協会側の免責の有無も争点となり、最高裁は、原審は協会の調査状況等について審理判断を行っていないと指摘した。

■参考:最高裁判所|貸金返還請求事件/保証債務履行請求事件他・平成28年1月12日・最高裁判所第三小法廷|

http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=85594

http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=85595

http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=85596

http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=85597