育児休業の取得は、いまや国是となりつつある気配まであり、休業中の報酬が保障される国会議員まで育休を取る意向を示す状況になっている。事業主としては、育児休業取得者については昇給や昇格でその他の勤務者と差異をつけ たいという意向が少なからずあるようだが、それを実際に実現させるのは考えものだ。3ヶ月間の育児休業取得を理由に昇給や昇格が認められないのは違法であるとして勤務先を訴えていた訴訟で、最高裁第2小法廷は勤務先である病院側の上告を退ける決定をし、病院側に約24万円の支払いを命じた二審大阪高裁判決が確定した。
法律上、育児休業を理由にして不利益な取扱いをすることを禁じているのは周知の事実だろう。この訴訟で事業主として考えるべきことは、そのような取扱いをする以前の問題として、結果として支払う24万円のために最高裁まで訴訟が続く可能性ではないか。訴訟にかかる費用を考えると、決して合理的な事案ではない。
労使間紛争は比較的初期に和解することも多いが、こじれれば長期に渡る可能性は否定できない。会社として検討すべきは、そこまでのリスクを負ってでもやるべきかどうかではないか。安易に労働者を軽視した施策は取るべきではないだろう。