カテゴリー別アーカイブ: 判例

買受人の建物引渡し請求を却下 競売手続開始前に該当―最高裁

抵当権者に対抗することができない賃借権が設定された建物が、担保不動産競売により売却された。賃借権は滞納処分による差し押さえのあとに設定され、占有者は競売手続きの開始前から賃借権により建物を使用または収益を得ていた。この場合、占有者は民法395条1項1号に掲げる「競売手続の開始前から使用又は収益をする者」に当たるかどうかが争われた事案で最高裁第三小法廷は、当たると解するのが相当だとし、抗告人による建物引き渡し命令の申し立てを却下した。 続きを読む

当初から過少申告の意図なし 重加算税の賦課決定を取り消し

審査請求人(医師)が原処分庁の調査を受け、収入の申告漏れ等があったとして所得税や消費税などについて修正申告をした。これを受け原処分庁が、当該収入の申告漏れは課税要件事実の隠ぺいまたは仮装に基づくなどとして重加算税の賦課決定処分等の原処分を行った。請求人がこれを否定、一部の処分について全部取り消し、その余について過少申告加算税相当額を超える部分に相当する額の取り消しを求めた事案で、国税不服審判所は29年8月23日付で、当初から過少に申告する意図があったと認めることはできないとして、重加算税の賦課決定処分を取り消した。 続きを読む

国送法は修正申告書にも適用 処分取消し請求を棄却―審判所

審査請求人が26年分の所得税と復興特別所得税について、国外財産に関する所得の申告漏れ等があったとして自主的に修正申告書を提出した後に国外財産調書を提出したところ、原処分庁が国外送金等に係る調書の提出等に関する法律第6条《国外財産に係る過少申告加算税又は無申告加算税の特例》第2項の規定を根拠に過少申告加算税の賦課決定処分をした。 続きを読む

金員は退職給与に該当しない 原処分庁の判断に軍配―審判所

請求人が役員の分掌変更に伴い当該役員に退職慰労金として支給した金員について原処分庁が、当該役員は分掌変更により実質的に退職したと同様の事情にあるとは認められず、当該金員は退職給与ではなく、損金の額に算入されない役員給与だとして法人税の更正処分と過少申告加算税の賦課決定処分をするとともに、当該金員は給与所得に該当するとして源泉徴収に係る所得税の納税告知処分と不納付加算税の賦課決定処分をした。請求人がその全部の取り消しを求めた事案で国税不服審判所は請求を棄却した。29年7月14日付の裁決。 続きを読む

事実上占有は「取得」とせず 減価償却費の損金性で判決

請負契約に基づき自社工場に設置した機械装置の減価償却費や特別償却準備金を損金算入しての確定申告について行われた更正処分に対し、納税者が取消しを求めていた事案で東京地裁はその主張を退けた。 続きを読む

税理士の債務不履行に当たらず 消費税簡易課税巡り―東京地裁

顧問先の税理士法人に対し、消費税の簡易課税制度による申告書の提出が債務不履行にあたるとして損害賠償を求めていた事案で、東京地裁はその主張を退けた。 続きを読む

民法167条2項を適用すべし 原審の判断は間違い―最高裁

金銭消費貸借取引の担保として建物の持ち分について根抵当権を設定、仮登記した。その後、賃借人が破産、破産手続き開始の決定を受けた。これにより根抵当権の担保すべき元本が確定。根抵当権の被担保債権は賃貸人の賃借人に対する債権(貸金債権)となった。このあと、賃借人は免責許可の決定を受け、貸金債権も同決定の効力を受けることになった。 続きを読む

信義則上の義務違反はない 上告人敗訴部分を破棄―最高裁

上告人は法令等の遵守に関する事項を社員行動基準に定め、企業集団の業務の適正等を確保するためのコンプライアンス体制を整備。その一環としてグループ会社の事業場内で就労する者が法令等の遵守に関する事項を相談できるコンプライアンス相談窓口を設け、申し出があればこれに対応するなどしていた。 続きを読む

減価償却資産たる営業権でない 配偶者経営の診療所―審判所

医師である配偶者が営んでいた診療所の事業(旧診療所)は他の診療所を上回る収益の稼得を可能にする無形の財産的価値を有していた。その引き継ぎの際に支払った金員は所得税法第2条《定義》第1項第19号に規定する減価償却資産となる営業権の対価に該当、営業権に係る減価償却費を必要経費に算入できるか、その可否が争われた事案で国税不服審判所福岡支部は29年5月8日付で、算入できないとし、審査請求人の請求を棄却した。 続きを読む