請求人が役員の分掌変更に伴い当該役員に退職慰労金として支給した金員について原処分庁が、当該役員は分掌変更により実質的に退職したと同様の事情にあるとは認められず、当該金員は退職給与ではなく、損金の額に算入されない役員給与だとして法人税の更正処分と過少申告加算税の賦課決定処分をするとともに、当該金員は給与所得に該当するとして源泉徴収に係る所得税の納税告知処分と不納付加算税の賦課決定処分をした。請求人がその全部の取り消しを求めた事案で国税不服審判所は請求を棄却した。29年7月14日付の裁決。
請求人は、当該役員が代表取締役社長を辞任し、代表権のない取締役会長となったのに伴い、役員の各業務に関する権限を他の役員等に移譲し、仕事量や質、内容が大幅に縮小または変更されたため、役員としての地位または職務の内容が激変し、実質的に退職したと同様の事情にあったといえると主張。審判所は、役員の地位や職務につき相当程度の変動が生じたことは認められるが、役員は分掌変更後も経営ないし業務に主要な地位を占め、取締役として重要な決定事項に関与していたことが認められるとし、実質的に退職したと同様の事情にあるとはいえず、金員は退職給与に該当しないものと認められると判断した。
■参考:国税不服審所|代表取締役が代表権のない取締役に分掌変更の際、損金算入できる退職給与に該当しないとした事例(棄却・平成29年7月14日裁決)|
http://www.kfs.go.jp/service/MP/03/0204070500.html#a108