顧問先の税理士法人に対し、消費税の簡易課税制度による申告書の提出が債務不履行にあたるとして損害賠償を求めていた事案で、東京地裁はその主張を退けた。
原告Aは矯正歯科医院の経営者で、26年4月にX税理士法人と顧問契約を締結した。担当者となったYは26年分の消費税の確定申告で、24年分は簡易課税制度で申告していたこと、同年分の課税売上高が5000万円以下であることを確認し、27年3月6日に所轄税務署からAには簡易課税制度が適用される旨を聴取。17日に、同制度による確定申告書を提出した。ところが30日に同税務署から、Aは事業廃止届出書を提出したことがあり同制度は適用されず、本則課税になる旨の連絡があった。同届出書について、それまでAから何ら報告はなかった。申告期限の31日中に、本則課税に基いた訂正申告を行うためAに追加資料の提示を求めようとしたが連絡が取れなくなり、訂正申告はできなかった。
同地裁は、Yは相当な方法で調査確認した結果、Aに簡易課税制度が適用されると判断し申告を行い、適用ができないと判明するとすぐ訂正申告で対応しようとしたがAと連絡が取れなくなったのであり、X税理士法人が適正な税務処理を怠った債務不履行があるとはいえないと判断した。