カテゴリー別アーカイブ: 判例

金員は退職給与に該当しない 原処分庁の判断に軍配―審判所

請求人が役員の分掌変更に伴い当該役員に退職慰労金として支給した金員について原処分庁が、当該役員は分掌変更により実質的に退職したと同様の事情にあるとは認められず、当該金員は退職給与ではなく、損金の額に算入されない役員給与だとして法人税の更正処分と過少申告加算税の賦課決定処分をするとともに、当該金員は給与所得に該当するとして源泉徴収に係る所得税の納税告知処分と不納付加算税の賦課決定処分をした。請求人がその全部の取り消しを求めた事案で国税不服審判所は請求を棄却した。29年7月14日付の裁決。 続きを読む

事実上占有は「取得」とせず 減価償却費の損金性で判決

請負契約に基づき自社工場に設置した機械装置の減価償却費や特別償却準備金を損金算入しての確定申告について行われた更正処分に対し、納税者が取消しを求めていた事案で東京地裁はその主張を退けた。 続きを読む

税理士の債務不履行に当たらず 消費税簡易課税巡り―東京地裁

顧問先の税理士法人に対し、消費税の簡易課税制度による申告書の提出が債務不履行にあたるとして損害賠償を求めていた事案で、東京地裁はその主張を退けた。 続きを読む

民法167条2項を適用すべし 原審の判断は間違い―最高裁

金銭消費貸借取引の担保として建物の持ち分について根抵当権を設定、仮登記した。その後、賃借人が破産、破産手続き開始の決定を受けた。これにより根抵当権の担保すべき元本が確定。根抵当権の被担保債権は賃貸人の賃借人に対する債権(貸金債権)となった。このあと、賃借人は免責許可の決定を受け、貸金債権も同決定の効力を受けることになった。 続きを読む

信義則上の義務違反はない 上告人敗訴部分を破棄―最高裁

上告人は法令等の遵守に関する事項を社員行動基準に定め、企業集団の業務の適正等を確保するためのコンプライアンス体制を整備。その一環としてグループ会社の事業場内で就労する者が法令等の遵守に関する事項を相談できるコンプライアンス相談窓口を設け、申し出があればこれに対応するなどしていた。 続きを読む

減価償却資産たる営業権でない 配偶者経営の診療所―審判所

医師である配偶者が営んでいた診療所の事業(旧診療所)は他の診療所を上回る収益の稼得を可能にする無形の財産的価値を有していた。その引き継ぎの際に支払った金員は所得税法第2条《定義》第1項第19号に規定する減価償却資産となる営業権の対価に該当、営業権に係る減価償却費を必要経費に算入できるか、その可否が争われた事案で国税不服審判所福岡支部は29年5月8日付で、算入できないとし、審査請求人の請求を棄却した。 続きを読む

競馬馬券の払戻金の課税取扱い 国税庁が考え方を公表

競馬の馬券の払戻金が一時所得と雑所得のいずれに該当するか、外れ馬券の購入費用が必要経費として控除できるか、が争われていた裁判において、最高裁平成29年12月15日判決は、雑所得に該当、外れ馬券費用は必要経費に該当すると判断。また、最高裁平成29年12月20日(上告棄却)は、一時所得に該当、外れ馬券費用は必要経費に該当しない、と判断した。 続きを読む

原審の再審開始決定を取り消す 即時抗告も棄却―最高裁

最高裁第一小法廷は29年12月、陳述書等の新証拠が無罪を言い渡すべき明らかな証拠に当たるとして再審開始の決定をした原判断に、刑訴法435条6号の解釈適用を誤った違法があるとして原決定を取り消すとともに、即時抗告を棄却した。 続きを読む

「正当な理由」には該当せず 相続税の期限後申告―不服審

審査請求人らがした相続税の期限後申告について、原処分庁が無申告加算税の各賦課決定処分をした。請求人らが、期限内申告書を提出しなかったのは法定申告期限に被相続人の一人が受け取るべき損害賠償金の額が未確定で、全相続財産を反映した申告書を作成できなかったためであり、請求人らには国税通則法第66条《無申告加算税》第1項ただし書に規定する「正当な理由」があるとして、処分の全部取り消しを求めた事案で、国税不服審判所は29年6月15日付で「正当な理由」には該当しないとして請求を棄却した。 続きを読む

法に違反し違法、無効でない 京都市営住宅条例―最高裁

京都市(被上告人)が制定した市営住宅条例24条1項が、国の住宅地区改良法29条1項、公営住宅法48条に違反し違法、無効か否かが主な争点となった上告審で最高裁第一小法廷は、条例は国の法の規定や趣旨に照らして不合理とは認められず、違法、無効とはいえないとして上告を棄却、上告人による住宅の使用権の承継を否定した原審の判断を追認した。 続きを読む