東京証券取引所に上場されていた被上告人の株式を募集等により取得した上告人らが、被上告人が提出した有価証券届出書に参照すべき旨を記載された半期報告書のうちに重要な事項について虚偽の記載があり、それにより損害を被ったなどと主張して被上告人に対し、金融商品取引法23条の2により読み替えて適用される同法18条1項に基づく損害賠償等を求める事案で最高裁第一小法廷は上告を棄却した。
原審は金商法18条1項に基づく損害賠償請求訴訟において、裁判所は民事訴訟法248条の類推適用により金商法19条2項の賠償の責めに任じない損害の額として相当な額を認定できると判断。上告人は、同判断には19条および248条の解釈の誤りがある旨を主張。
最高裁は、金商法18条1項に基づく損害賠償請求訴訟において、請求権者の受けた損害につき、有価証券届出書の虚偽記載等によって生ずべき当該有価証券の値下がり以外の事情により生じたことが認められる場合に、その額を立証することが極めて困難である時は、裁判所は民訴法248条の類推適用により、口頭弁論および証拠調べの結果に基づき金商法19条2項の賠償の責めに任じない損害の額として相当な額を認定することができると解するのが相当だとした。
■参考:最高裁判所|損害賠償請求事件・平成30年10月11日・第一小法廷・棄却|
http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=88040