自動車同士の衝突事故で被害を受けた第1審原告が、加害車両を被保険自動車とする自動車損害賠償責任保険の保険会社である被告に対し、自賠法16条1項に基づき保険金額の限度における損害賠償額とこれに対する訴状送達の日の翌日から支払い済みまでの遅延損害金の支払いを求める事案で最高裁第一小法廷は被告の上告を棄却。原判決中、344万円に対する遅延損害金の支払い請求を棄却した部分を破棄、同部分につき東京高裁に差し戻した。
原告は労働者災害補償保険法の給付対象となり、損害賠償額の支払い請求権は労災保険法12条の4第1項により労災保険給付の価額の限度で国に移転。原審は344万円と原判決確定の日から支払い済みまでの遅延損害金の支払いを求める限度で認容した。
最高裁は、減額を求める被告側の主張に対し、被害者の行使する自賠法に基づく請求権の額と労災保険法により国に移転して行使される請求権の額の合計額が自賠保険の保険金額を超える場合、被害者は国に優先して損害賠償額の支払いを受けられると説示。また、自賠法にいう「当該請求に係る自動車の運行による事故及び当該損害賠償額の確認をするために必要な期間」とは、個々の事案における具体的事情を考慮して判断するのが相当だとした。
■参考:最高裁判所|保険金請求事件(平成30年9月27日・第一小法廷)
http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=88011