カテゴリー別アーカイブ: 判例

請求権は破産財団に属す 死亡保険金―最高裁も上告棄却

破産手続き開始前に成立した第三者のためにする生命保険契約に基づき、破産者である死亡保険金受取人が有する死亡保険金請求権が破産者に属するのか、管財人の破産財団に属するのかが争われた事案で、最高裁第一小法廷は破産財団に属すると判決、原審に続き破産者側の上告を棄却した。これにより破産者側の敗訴が確定した。 続きを読む

取り戻しの請求は消滅時効内 営業保証金―最高裁が逆転判決

宅地建物取引業法30条1項前段所定の事由が発生した場合において、同条2項本文所定の公告がなされなかった時、営業保証金の取り戻し請求権の消滅時効がいつ発生するかが争点となった事案で、 最高裁第一小法廷は原判決を破棄し、第1審判決を取り消すとともに、(1)上告人が25年9月20日付で行った供託金の取り戻し請求に対し東京法務局供託官が同年10月1日付で行った却下決定を取り消す(2)同供託官は、上告人が行った供託金の取り戻し請求につき払い渡し認可決定をせよ―と命じた。1審、2審を否定した逆転判決。 続きを読む

海外関連法人からの新株引受 有利発行と認定-東京高裁

報道によると、大手商社・神鋼商事が増額更正処分の取消しを求めた控訴審で、東京高裁は一審を支持し、請求を棄却した。同社は平成19年にタイの関連法人が増資に伴い発行した新株を額面価額で引き受け、払込金額を本件株式の取得価額に計上して申告したが、原処分庁は本件株式が有利発行有価証券に該当し、払込価額との差額は受贈益として益金に算入すべきとした。 続きを読む

差し押さえは適法、控訴を棄却 原判決を破棄―最高裁

信託契約の受託者が所有する複数の不動産の固定資産税に係る滞納処分として行われた、これら不動産のうちの信託財産である土地とその上にある固有財産である家屋に係る賃料債権に対する差し押さえが適法か否かが争われた事案で、最高裁第三小法廷は違法とした原判決を破棄、適法として被上告人らの請求を棄却した第1審判決は結論において是認できるとして被上告人らの控訴を棄却した。 続きを読む

取り消し請求は不適法 株主総会の決議―最高裁も棄却

企業が自社の株主でもある取締役らを解任することになり、臨時株主総会に諮ったところ、その議案を否決する決議が成立した。解任される取締役らは会社を相手取り、会社法831条1項1号に基づき同決議の取り消しを請求した。この訴えが適法であるか否かが争われた事案で最高裁第二小法廷は、訴えは不適法であり、これを却下した原判決は正当として是認できるとし、上告を棄却した。 続きを読む

副社長就任は租税回避行為 上告人の敗訴が確定―最高

吸収合併した企業の未処理欠損金の扱いをめぐり適格合併か、組織再編成に係る行為または計算の否認に当たるか否かが争われた事案で最高裁第一小法廷は、否認に当たると判断、上告人が申し立てた法人税の更正処分などの賦課決定処分の取り消し請求を棄却、原審の判断を正当と是認した。これにより上告人の敗訴が確定した。 続きを読む

算定の基準時は支払い請求日 認知相続めぐる価額―最高裁

Aの相続開始後、認知によって相続人となった上告人が、Aの子ですでに遺産分割を行っていた被上告人らに対し民法910条による価額の支払いを求める事案で 最高裁第二小法廷は、原審に続き上告および附帯上告を棄却した。これにより遺産の価額算定の基準時は、上告人が被上告人らに対して価額の支払いを請求した23年5月6日、価額の支払い債務が遅滞に陥る時期はその翌日の7日となることが確定した。 続きを読む

原判決を破棄、高裁に差し戻す 信組の退職金請求事案―最高裁

A信用組合の職員だった上告人らが、同組合と被上告人(16年2月に変更される前の名称はB信用組合)の合併により上告人らに係る労働契約上の地位を承継した被上告人に対し退職金の支払いを求める事案で 最高裁第二小法廷は、上告人らの請求を棄却した原判決を破棄し、東京高裁に差し戻した。上告人らの主張する退職金額は、A信組の合併当時の職員退職給与規程における退職金の支給基準に基づくもの。 続きを読む

無申告加算税処分を取り消し 押印のない申告書―国税不服審

相続税について審査請求人(共同相続人の一人)が法定申告期限後に申告書を提出したのを受けて、原処分庁が無申告加算税の賦課決定処分を行ったのに対し、請求人が▽共同相続人は期限内に共同で申告書を提出した▽当該申告書は請求人の押印を欠くものの、請求人の申告の意思に基づいて提出された有効な申告書だ―として処分の全部の取り消しを求めた事案で国税不服審判所は27年4月1日付で、押印がなくても納税申告書としての効力が認められるとし、処分を全部取り消した。他の要件を具備している限り、押印がないことのみをもって効力がないとはいえないとした。 続きを読む

しこりが残りがちな内部通報 意趣返しはトラブルに

企業内の不正行為を内部の者が通報する内部通報は、実態を理解している社員が証拠を抑えた上で行うことが多いため、企業にとってはかなり手痛い事態になりがちだ。場合によっては、それをきっかけに刑事罰を受けることもあり得る。 続きを読む