民事執行法81条の趣旨に沿う 地上権で真逆の判決―最高裁

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地上建物に対する仮差し押さえが本執行に移行して強制競売手続きがされた場合に、仮差し押さえの時点で土地および地上建物の所有者が同一であった時は、差し押さえの時点で土地が第三者に譲渡されていたとしても、法定地上権が成立するか否かが争点となった事案で最高裁第一小法廷は、建物につき法定地上権の成立を否定し、被上告人の土地明け渡し請求を認容、賃料相当損害金の支払い請求を一部認容すべきとした原判決を否定。上告人に対し土地明け渡しおよび金員の支払いを命じた部分を破棄するとともに、この部分につき福岡高裁に差し戻した。

福岡高裁は法定地上権を認める民事執行法81条の明文に反するとしたのに対し、最高裁は地上建物の収去による社会経済上の損失を防止しようとする同条の趣旨に沿うと真逆の判断を示した。

最高裁は、地上建物に仮差し押さえがされ、その後、本執行に移行してされた強制競売手続きにおける売却により買受人がその所有権を取得した場合において、土地および地上建物が仮差し押さえの時点で同一の所有者に属していた時は、その後に土地が第三者に譲渡された結果、強制競売手続きにおける差し押さえの時点では同一の所有者に属していなかったとしても、法定地上権が成立すると判決した。

■参考:最高裁判所|損害賠償等,境界確定等請求事件・平成28年12月1日・最高裁判所第一小法廷)

http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=86306