税理士業を営む納税者が妻を青色事業専従者として妻への給与を必要経費に算入した申告に対し、所轄税務署は妻が他に職業を有しており青色専従事業者には該当しないと所得税の増額更正処分を行い、納税者側がこれを違法として取消しを求めていた事案で、東京地裁は処分を適法とする判決を下した。
原告は21年に675万円、22年に572万円、23年に530万円を妻に支払い必要経費に算入していたが、他方、妻は取締役等を務める3社から21年分で960万円、22年分で920万円、23年分で960万円の役員報酬を受け取っていた。所得税法施行令165条2項2号は、他に職業を有する者である期間は専従者期間に含まれないものの、「その職業に従事する時間が短い者その他当該事業に専ら従事することが妨げられないと認められる者」を例外的に除くとしている。
地裁は、妻が通常、税理士事務所で1日7~8時間勤務し、3社では計2時間30分以内の勤務であったこと、特に代表取締役を務めていた会社の業務に相応の事務量があったことを指摘。これらの点から妻は上記の例外に該当しないこと、3社からの報酬の額は税理士事務所の給与をはるかに超えていたことから、妻を他に職業を有する者であったと認定し、処分を適法であるとした。