土地の取得に対する不動産取得税を納付した被上告人が、当該土地上に建築された複数棟の建物につき、同税が減額されるべき住宅に該当するとして還付を求める申請をしたところ、東京都都税総合事務センター所長から還付しない旨の処分を受けたため、処分の取り消しを求める事案で最高裁第一小法廷は、処分は違法であり、被上告人の請求を認容すべきだとした原判決を破棄、被上告人の控訴を棄却した。
原審と最高裁で判断が分かれたのは、地方税法施行令附則6条の17第2項の共同住宅等に関して定められた戸数要件を充足するか否か。原審は、1棟の共同住宅等ごとに判断されるべきことは文言上明示されておらず、減額規定は複数棟の共同住宅等で合計100以上の独立区画部分がある場合にも適用されるとした。
最高裁は、第2項にいう「居住の用に供するために独立的に区画された部分が100以上ある共同住宅等」に当たるか否かは、1棟の共同住宅等ごとに判断すべきものとし、本件各建物は1棟ごとの独立区画部分がいずれも100未満であって戸数要件を満たさないから処分は違法とはいえないと説示。その上で、被上告人の請求は理由がなく、これを棄却した第1審判決は正当であるから被上告人の控訴を棄却すべきだとした。
■参考:最高裁判所|不動産取得税還付不許可決定処分取消請求事件
(平成28年12月19日・第一小法廷)
http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=86353