審査請求人(同族会社)が金属スクラップ等の売買取引で得た収入を故意に計上しなかったことなどを理由として、原処分庁が法人税の更正処分と重加算税の賦課決定処分をした。請求人が当該取引に基づく収益は請求人に帰属するものではなく、原処分には理由の記載や調査手続きに瑕疵があるなどと主張して全部の取り消しを求めた事案で国税不服審判所は3月10日付で、取引先から請求人の元代表者に支払われた金員は請求人に帰属する収益とは認められないと認定、更正処分の一部、賦課決定処分の全部を取り消した。 続きを読む
カテゴリー別アーカイブ: 判例
原処分の全部取り消し 請求人の主張を認容―審判所
審査請求人らが相続税の申告を行ったところ、原処分庁が、そのうちの一人が所有する土地上に被相続人が借地権を有しており、当該借地権の価額が相続税の計算の基礎となる課税価格に算入されていないとして相続税の各更正処分等を行った。 続きを読む
原判決中の一部破棄、差し戻す 求償権行使懈怠違法―最高裁
大分県教育委員会の職員らが教員採用試験で受験者の得点を操作するなどの不正を行い、不合格となった受験者らに対して県が損害賠償金を支払ったが、不正に関与した者に対する求償権は行使しなかった。これについて住民らが、違法に財産の管理を怠るものと主張、県を相手に地方自治法242条の2第1項の求償権に基づく金員の支払い請求を求めた住民訴訟で最高裁第二小法廷は、原判決中、▽不正を行った4人に対する求償権に基づく金員の支払い請求を求める部分▽上告人らが不正に関与したと主張する他の2人に対する求償権の行使を怠る事実の違法確認を求める部分と求償権に基づく金員支払い請求を求める部分―を破棄、福岡高裁に差し戻した。 続きを読む
同一労働同一賃金 中小企業に大きな課題
正社員と同様の業務内容にも関わらず、契約社員について手当や休暇制度に格差があるのは労働契約法に違反するとして争われた裁判で、一部の格差について不合理な差異に当たると判断された。契約社員と正社員の賃金制度に一定の違いがあることまでは否定していないが、手当の一部支給や休暇の付与を行うよう求める内容となっている。 続きを読む
原判決を破棄、高裁に差し戻す 廃止負担金請求事件―最高裁
大阪府工業用水道事業供給条例23条等の規定により工業用水道の使用を廃止した者が納付しなければならないとされる負担金が、地方自治法224条、228条1項にいう分担金に当たるかどうかが争点となった事案で、最高裁第一小法廷は、当局側である上告人の請求を棄却した原判決を破棄し、大阪高裁に差し戻した。 続きを読む
相続の株式評価同族株主判定 配当還元方式で課税庁側を棄却
妻(原告)がA社の代表取締役だった夫の有していたA社株を相続した際の相続税の申告について行われた所轄税務署の更正処分に対し、原告が取消しを求めた事案で、東京地裁は税務署側の主張を棄却した。 続きを読む
売買価格決定の申立てできず 原審に続き抗告を棄却―最高裁
会社法179条1項の特別支配株主となった利害関係参加人が株式売渡請求の公告後、抗告人に株式を譲渡。同条の4第1項1号の通知または同号および社債、株式等の振替に関する法律161条2項の公告がされた後、抗告人が会社法179条の8第1項に基づく売買価格の決定の申立てをしたところ、できないとされた。その可否が争われた事案で最高裁第二小法廷は、できないとした原審の判断は是認できるとし、抗告を棄却した。 続きを読む
原処分の一部取り消し 必要経費認める―国税不服審
原処分庁が、審査請求人の申告した不動産所得の金額の計算上、必要経費に算入した支出の一部は必要経費に該当せず、また、医師としての健康診断の業務に係る報酬を雑所得として更正処分等をしたのに対し、請求人が▽調査手続きは違法▽更正の理由付記に不備がある▽不動産所得と雑所得に係る必要経費の認定に誤りがある―として原処分の取り消しを求めた事案で国税不服審判所は28年11月1日付で、審判所が行った調査により追加で認容すべき必要経費の額を認め、処分の一部を取り消した。 続きを読む
事業所得は請求人に帰属せず 処分の全部取り消し―不服審
飲食店に係る所得税と消費税の期限後申告書を提出した審査請求人が、飲食店に係る事業所得は請求人に帰属しないなどとして更正の請求をしたところ、原処分庁が更正をすべき理由がない旨の通知処分を行った。請求人がその全部の取り消しを求めた事案で国税不服審判所は28年11月15日付で、営業許可や各契約等が請求人自身の名義により行われているものの、事業を支配管理し、収益を享受している者は請求人ではないから、事業に係る所得は請求人には帰属しないとし、処分の全部を取り消した。原処分庁の主張を全否定した形だ。 続きを読む
全体を一団の地と評価すべし 原処分庁の主張を排す―不服審
審査請求人4人が相続税の期限内申告と修正申告をした後、相続により取得した各土地の価額について、各土地と隣接地を合わせた土地を一つの評価単位として、財産評価基本通達24―4《広大地の評価》の定めを適用して評価すべきだとして、それぞれ更正の請求をしたところ、原処分庁が当該各土地は複数の評価単位に区分して評価すべきだなどとして、請求の一部のみを認める内容で各更正処分をした。4人がその全部の取り消しを求めた事案で国税不服審判所は28年12月20日付で、1人については審査請求には理由なしとして棄却、他の3人の審査請求はいずれも原処分の一部について、理由があるとして限度付きで認容する旨裁決した。 続きを読む