大阪府工業用水道事業供給条例23条等の規定により工業用水道の使用を廃止した者が納付しなければならないとされる負担金が、地方自治法224条、228条1項にいう分担金に当たるかどうかが争点となった事案で、最高裁第一小法廷は、当局側である上告人の請求を棄却した原判決を破棄し、大阪高裁に差し戻した。
被上告人は条例に基づき、府と給水契約を締結し工業用水道を使用していた。その後、条例が改正され、使用者が使用を廃止した時は負担金を納付しなければならない旨の規定が設けられ、のちに使用を廃止。これを受け、府から同事業を承継した一部事務組合である上告人が被上告人に対し負担金の支払いを求めた。原審は廃止負担金について、分担金に当たるとした上で、228条1項は分担金に関する事項を条例で定めなければならないと規定しているのに、本件規定は条例で何も定められていない、ゆえに請求を棄却する旨判決。
最高裁は、廃止負担金の目的やその額の算定方法に照らすと、廃止負担金は、使用を廃止した者の受益の限度において徴収される性質のものとはいえないと指摘。廃止負担金は224条、228条1項にいう分担金に当たらず、条例で定めるべき事項とはいえないとの判断を示した。
■参考:最高裁判所|廃止負担金請求事件・平成29年9月14日(最高裁判所第一小法廷)|
http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=87066