飲食店に係る所得税と消費税の期限後申告書を提出した審査請求人が、飲食店に係る事業所得は請求人に帰属しないなどとして更正の請求をしたところ、原処分庁が更正をすべき理由がない旨の通知処分を行った。請求人がその全部の取り消しを求めた事案で国税不服審判所は28年11月15日付で、営業許可や各契約等が請求人自身の名義により行われているものの、事業を支配管理し、収益を享受している者は請求人ではないから、事業に係る所得は請求人には帰属しないとし、処分の全部を取り消した。原処分庁の主張を全否定した形だ。
原処分庁は▽事業に係る営業許可や各契約等の名義人が請求人▽請求人が開業届出書と所得税の期限後申告書を提出している―などを総合すれば、請求人が事業から生ずる収益を享受している旨主張。審判所は▽請求人は、ともに事業に従事しているGの依頼に応じて各契約等を自らの名義に変更したにすぎず、Gは請求人名義に変更後も資金管理や利益を処分し、雇用や労務管理を含む事業の運営を行っている▽請求人とGの間で、Gが従業員の立場で当該運営を行う旨の特段の合意があったとは認められない―ことからすると、事業から生ずる収益を享受しているのは請求人ではなく、Gだと認められると裁決した。
■参考:国税不服審判所|飲食店事業に係る営業許可等の名義人に収益は帰属しないとした事例(全部取消し・平成28年11月15日裁決) |
http://www.kfs.go.jp/service/MP/02/0103010100.html#a105