同一労働同一賃金 中小企業に大きな課題

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正社員と同様の業務内容にも関わらず、契約社員について手当や休暇制度に格差があるのは労働契約法に違反するとして争われた裁判で、一部の格差について不合理な差異に当たると判断された。契約社員と正社員の賃金制度に一定の違いがあることまでは否定していないが、手当の一部支給や休暇の付与を行うよう求める内容となっている。

厚生労働省では、働き方改革の一環として同一労働同一賃金制度の適用を盛り込んでいる。関連法案の要綱では、同一労働同一賃金の適用について中小企業には1年間の猶予を設けるとしているが、多くの中小企業にとっては、それでもなお十分とは言えないだろう。

前述の判決のように、労働契約の種類によって多くの企業では様々な待遇格差が生じている。契約社員等に関する諸制度の変更には時間がかかる上、仮に手当や有給での休暇等を正社員に近い形に変更すれば多額の費用が発生することにもなる。

同一労働同一賃金は、高齢者の定年後の再雇用制度にも大きな影響をもたらしている。定年後の再雇用にあたり、従前と同様の業務内容にも関わらず、賃金が引き下げられれば、労働契約法違反と判断されかねない。規模の大小を問わず、雇用制度の抜本的な見直しが迫られているようだ。