研修の仕事で温泉とスキー場のある町へ行った時のことである。仕事の後、地元商店主や商工会職員と懇親会をした。「高速道路が通り、近くにインターができて便利になりましたね」と言ったところ、出席者が暗い表情をしている。「他所から速く来られるということは、この辺の人も他所へ簡単に出られるということ」「以前は首都圏から大勢泊りがけでスキーに来たが、今は日帰り客が多い。みやげ物もあまり買わない」、等と次々に嘆くのである。 続きを読む
カテゴリー別アーカイブ: Weeklyコラム
Weeklyコラム 経営者の苦労と喜び
寺田寅彦の随筆に、次のような一節がある(『柿の種』岩波文庫)。「鳥や魚のように、自分の眼が頭の両側についていて、右の眼で見る景色と、左の眼で見る景色と別々にまるでちがっていたら、この世界がどんなに見えるか、そうしてわれわれの世界観人生観がどうなるか」同様に、人が何かを観察する場合も、同じ物でも見る部分や方向によって全く違う感想を持つだろう。 続きを読む
Weeklyコラム 三拍子揃う前に
新規創業を考えている人のうちで、実現する人と実現しない人の違いは何であろうか。創業の構想(経営理念・ビジョン・資金調達方法・収支計画等)と将来の夢を持っている人は、実現の見込みが大きい。実現しない人は、創業の計画が曖昧であるか、創業の計画に完全性を求め過ぎるようだ。 続きを読む
Weeklyコラム 名刺の配り方と役目
ある大きな会合に行った時のこと、「名刺はこの机の上に置いて下さい。また、自由にお取り下さい」という表示があった。何名かの名刺が置いてあったが、このコーナーに名刺を置く人も取る人も少なかった。会合等で無闇に名刺を配る人がいる。ただ知名度を上げることが目的であれば良いが、一般の商活動においては余り意味が無い。少数の者同士が自己紹介する場合や、話の経過からお互いの所属や住所が必要になって名刺交換するような場合は意義がある。
一般に名刺交換は自己の所属や氏名を明かす為に行うが、自己を印象付ける為に、出身地・顔写真・趣味・信条・多くの肩書等を目立つように入れている名刺もある。中には、豊かな人脈形成を目指して毎月配る枚数(例えば百枚)にノルマを課している人もいる。業種の種類によっては役立つが、「相手の購買力や人脈を利用しよう」という、自己都合だけを主張しているように思われるかもしれない。一度名刺交換した人から、セールスで訪問されたり、何か頼み事をされたりして戸惑ったこともある。 名刺交換の役目は、お互いの身元を明らかにして、相手に役立ち自分には負担となるような付き合いから始める認識をすることだ。「ギブ・アンド・テイク」のうち、ギブの行動が先行しなければならない。
Weeklyコラム 運・鈍・根における「鈍」
運・鈍・根(うん・どん・こん)とは、事業に成功する人の三要素で、運に恵まれて根気よく耐えて努力する人のことである。ただ「鈍」は、文字通り単純に捉えると真意がよく分からず誤解するかもしれない。前述のように、元々は運に恵まれ、鈍感なほど根気強く物事に取り組む人という意味であろうが、「鈍」とは何物にも動揺しない確固とした信念があり、豊かな個性と他人への愛想(あいそ)や強い思い遣りを持っているということではなかろうか。 続きを読む
Weeklyコラム 後継者の出番を確保
X社(建設業)の会長(創業者)から、後継社長(会長の娘婿)のリーダーシップについて相談を受けた。社長が部下に指示命令が上手に出来ないと言う。社長は10年前まで鉄道会社にいたが、結婚を機にX社に入った。3年前から後継社長として奮闘しているが、性格が穏やかで礼儀正しい為か、部下が社長の指示命令を軽視するような態度をすると言う。そもそも、社長は必要な日常業務の指示命令を気軽に発しないようだ。 続きを読む
Weeklyコラム 社交上手の一端
社交上手と言っても評価は区々なので、ここでは社交上客観的に効果のあるその一端を紹介してみたい。 続きを読む
Weeklyコラム 撤退の好機
いつの時代も、好機を捉えて繁盛店を作る人はよく見かけるが、残念ながら繁盛しているうちに撤退出来る人は少ないようだ。物事は順調に進んでいると感じた時が本当は撤退の好機と言われる。特に好運が予想以上に長く続いていると思ったら、根本的に反省してみる必要があろう。特定の人(会社)にずっと好運が続くということは絶対無いからである。商売や勝負事等においても勝ち続けている時が撤退の最も好機であり、兵法書や戦記物等によると有能な将軍や軍師は攻撃よりも退却が上手と言われる。しかし、順調な時に普通の人が素早く撤退することは非常に難しい。 続きを読む
Weeklyコラム 下手は上手の手本
Weeklyコラム 下手は上手の手本
世阿弥著「風姿花伝」に、「上手は下手の手本、下手は上手の手本なりと工夫すべし」とある(野上豊一郎・西尾実校訂、岩波文庫)。知識経験や技能等が劣る者(下手)が、より上位の者(上手)を見習うべきは当然であるが、その反対もまた必要である。理由の一つは反面教師のような場合で、上手が下手の者を見て、同じ失敗をしないように気をつけることである。もう一つは上手の者は達者な技能に慢心して、弱点を意識することが難しいからである。 続きを読む
Weeklyコラム 引き貯金の発想
Weeklyコラム 引き貯金の発想
本多静六(林学者・造園学者、1866-1952)の教えに、「月給四分の一天引き貯金」があった。本多静六は学者を続けながら月給からの天引き貯金を実行し、山林の購入や株投資等によって大きな財産を築いた人だ。 続きを読む