どんな仕事でも、大小の問題が毎日発生する。すぐ解決することもあれば、何ヶ月も掛かるような問題も珍しくない。
ある人から教わった「問題は縦に並べて一つずつ解決しろ」という言葉が好きだ。例えば、三つある問題を横に並べて同時に解決しようとすれば、その内の一つの解決法が分からないとどれも解決出来なくなる。取り敢えず、一つの解決が出来れば良い。また、問題の解決法は、絶対唯一ではないことを知るべきである。易理論に、「天下帰(き)を同じくして塗(みち)を殊(こと)にし、致(ち)を一にして慮(りょ)を百にす」という教えがある(天下の物事はみな帰するところはおなじで、そこに達する道筋が異なるだけであり、結果は一つことなのに、考えめぐらしかたがまちまちなだけなのだから、天下に何の思いわずらうことがあろうか。出典; 高田真治・後藤基巳訳『易経』下巻、岩波文庫)。
経営指導者等が経営者から経営上の問題を聞く場合、幾つも同時に問題を相談されても、その多さに驚く必要は無い。その内のどれが一番重要な問題であるかを見極めて助言すれば良い。これで大抵は満足してもらえるであろう。特に顧問先の場合は、小さな問題を一つ一つ確実に解消出来るような助言を心掛けることが有効である。