別荘地の管理費用を巡り、最高裁判所はこのほど、管理会社の請求を認容する判決を下した。上告側である管理会社は、管理契約の有無にかかわらず、共通施設の維持管理によってすべての所有者が利益を受けており、費用を公平に負担すべきと主張した。
特に、別荘地全体が依然として利用されており、個々の所有者が単独で管理を行うことは非現実的であること、行政による代替もない現状を踏まえ、請求は正当であると訴えた。
これに対し、被上告側の土地所有者は、管理契約を締結しておらず、提供された管理行為が自己の土地に具体的利益をもたらしていないとし、契約なき支払義務は成立せず不当利得返還義務はないと反論した。
原審である高裁は所有者の主張を支持し、管理行為が土地の経済的価値を高めたと認められない限り、費用の請求は不当と判断した。これに対して最高裁は、管理契約がなくとも、実質的利益の享受と共同体としての公平性、さらには管理の代替困難性を考慮し、費用負担義務の成立を認めた。判決は〇所有地の利用実態〇全体利益と公平負担〇各人の管理不能性という3点を重視し、契約の有無を超えて費用請求の法的正当性を明示した。これにより、管理契約を締結していない土地所有者にも支払義務が生じ得ることが明確化された。
■参考:最高裁判所|別荘地内に土地を所有する者が当該別荘地の管理会社に対し管理費として相当と認められる額の不当利得返還義務を負うとされた事例(6月30日判決・第一小法廷)|