カテゴリー別アーカイブ: 判例

上告棄却、被告人の敗訴が確定 インサイダー取引規制―最高裁

職務上知り得た企業合併の公表前に妻名義で行った当該企業の株式購入が金融商品取引法違反(インサイダー取引規制)に当たるとして、第1審に続き第2審でも犯罪とされた被告人が控訴した事案で最高裁第一小法廷は上告を棄却した。 続きを読む

原処分庁の手法は十分に合理的 移転価格税制の適用で不服審

移転価格税制の適用をめぐり、独立企業間価格の算定に用いるべき方法は何か、また独立価格比準法に準ずる方法と同等の方法として、貸手の銀行調達利率による方法を用いて算定する場合の利率はいくらかが争点となった事案で、国税不服審判所は2月19日付で、原処分庁の主張に軍配を上げた。 続きを読む

裁量権の範囲の逸脱・濫用ない 納税の猶予―原処分庁に軍配

貨物自動車運送業を営む審査請求人が、売り上げ減などを理由に国税通則法第46条《納税の猶予の要件等》第2項第5号の規定に基づき納税の猶予を申請したところ、原処分庁が、請求人には同項に該当する事実がないとして猶予を不許可とする処分をしたのに対し、請求人が要件は充足していたとして、当該処分は裁量権の範囲を逸脱または濫用した違法なものとして、その取り消しを求めた事案で国税不服審判所は1月13日付で、逸脱または濫用があったと認めることはできないと裁決、請求を棄却した。 続きを読む

区分所有の固定資産税算定方法 一転、市が勝訴-札幌高裁

区分所有建物であるマンションの固定資産税評価額の算定上、異なる経年減点補正率を乗じ各部分の価額を合算して課税を行った札幌市を地方税法352条1項に反するなどと納税者が訴えた事件で、原告が勝訴した原審から一転、札幌高裁は市の算定方法を認めた。高裁の判断は、以下の通り。 続きを読む

法律上保護される利益有さず 弁護士法23条の照会―最高裁

弁護士法23条の2第2項に基づく照会をA社に対して行った弁護士会である被上告人が、A社を吸収合併した上告人に対し主位的に、A社が23条照会に対する報告を拒絶したことにより被上告人の法律上保護される利益が侵害されたと主張して不法行為に基づく損害賠償を求め、予備的に、上告人が23条照会に対する報告をする義務を負うことの確認を求めた事案で最高裁第三小法廷は、原判決中、上告人の敗訴部分を破棄し、前項の部分につき被上告人の控訴を棄却するとともに、報告義務確認請求に関する部分につき本件を名古屋高裁に差し戻した。 続きを読む

青色事業専従者に該当せず 除外規定をめぐって―東京地裁

税理士業を営む納税者が妻を青色事業専従者として妻への給与を必要経費に算入した申告に対し、所轄税務署は妻が他に職業を有しており青色専従事業者には該当しないと所得税の増額更正処分を行い、納税者側がこれを違法として取消しを求めていた事案で、東京地裁は処分を適法とする判決を下した。 続きを読む

賦課決定処分を全部取り消す 「広大地」と認定―国税不服審

被相続人の妻が相続により取得した土地が、財産評価基本通達24-4《広大地の評価》に定める広大地に該当するか否か、また、同土地の評価額算定にあたり、基本通達24-6《セットバックを必要とする宅地の評価》に準じて減額すべきか否かが争点となった事案で、国税不服審判所は2月9日付で、該当するとした請求人の主張を全面的に認め、原処分庁の相続税の各更正処分と過少申告加算税の各賦課決定処分を全部取り消す旨裁決した。 続きを読む

原判決を破棄、高裁に差し戻す 善管注意義務違反ある―最高裁

匿名組合契約の営業者が新たに設立される株式会社に出資するなどし、同社が営業者の代表者等から売買により株式を取得した場合において、営業者に匿名組合員に対する善管注意義務違反があるかが争点となった事案で最高裁第三小法廷は、上告人が被上告人らに対して行った金員の支払い請求を棄却した原審の判断は是認できないと否定した。その上で、原判決中、上告人の請求を棄却した部分を破棄、その部分につき東京高裁に差し戻した。 続きを読む

事実の仮想とまでは言えない 原処分庁の認定を否定―不服審

被相続人が各同族会社に対する債権を放棄していないのに、各同族会社の経営者である請求人が、債権放棄があったとする経理処理をした上で相続財産からこれら債権を除外して相続税の申告をしたとして原処分庁が重加算税を賦課したのに対し、請求人が審理を申し立てた事案で国税不服審判所は27年10月1日付で、上記債権の一部は被相続人が実際に債権放棄をした可能性が認められるとして原処分庁の事実認定を否定、重加算税の賦課決定処分を一部取り消す旨裁決した。 続きを読む

業務上の事由による災害に該当 労災と認定―最高裁が逆転判決

労働者が業務を一時中断して事業場外で行われた研修生の歓送迎会に途中参加した後、当該業務を再開するため自動車を運転して事業場に戻る際に、研修生をその住居まで送る途上で発生した交通事故により死亡したことが、労働者災害補償保険法1条、12条の8第2項の業務上の事由による災害に当たるかどうかが争われた事案で最高裁第二小法廷は当たると判断した。そして、当たらないとした原判決を破棄、上告人の請求を棄却した第1審判決を取り消すとともに、行橋労働基準監督署長が上告人に対して行った労災保険法に基づく遺族補償給付および葬祭料を支給しない旨の決定を取り消した。上告人側の全面勝訴だ。 続きを読む