Aの破産管財人(被上告人)が貸金業者(上告人)に対し、 Aと業者間の継続的な金銭消費貸借取引に係る各弁済金のうち、利息制限法所定の制限利率による金額を超えて支払った部分を元本に充当すると過払金が発生していると主張して、不当利得返還請求権に基づき返還等を求めた事案で最高裁第一小法廷は、被上告人の請求を棄却した第1審判決の結論は正当だとし、これを認容した原判決を破棄、被上告人の控訴を棄却した。
過払金等について司法書士法3条2項各号のいずれにも該当する司法書士(上告補助参加人)がAを代理して業者と従前締結した裁判外の和解契約の効力が争われていた。同契約に基づき業者は200万円を支払った。本件取引に係る過払金の額は同法3条1項7号に規定する140万円を超え、補助参加人がAを代理して契約を締結することは弁護士法72条違反となる。原審はこの点を重視、補助参加人とAの委任契約は無効、和解契約も無効とした。
最高裁は、認定司法書士が委任者を代理して裁判外の和解契約を締結することが同条に違反する場合であっても、当該和解契約はその内容や締結に至る経緯等に照らし、公序良俗違反の性質を帯びるに至るような特段の事情がない限り、無効とならず被上告人の請求は理由がないとした。
■参考:最高裁判所|過払金返還請求事件・平成29年7月24日・最高裁判所第一小法廷 |
http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=86944