輸入業者である抗告人から依頼を受けてその輸入商品に関する信用状を発行した銀行である相手方が、抗告人につき再生手続き開始の決定がされたあと、 上記輸入商品に対する譲渡担保権に基づく物上代位権の行使として、抗告人が転売した上記輸入商品の売買代金債権の差し押さえを申し立てた事案で、 最高裁第二小法廷は抗告を棄却するとともに、原決定の当事者の表示と主文の一部を更正した。
争点は、相手方が占有改定の方法により上記輸入商品の引き渡しを受けたか否か。大阪地裁は当初、差し押さえ命令を発付したが、その後これを取り消し、申し立てを却下。これを受けて相手方が執行抗告をした。原審は、相手方が占有改定の方法により本件商品の引き渡しを受けたとして、本件譲渡担保権につき対抗要件を具備したことを認め、上記決定を取り消し債権差し押さえ命令を発付すべきものとした。
最高裁は▽相手方は抗告人から占有改定の方法により本件商品の引き渡しを受けたものと解するのが相当▽相手方は抗告人につき再生手続きが開始した場合において本件譲渡担保権を別除権として行使できる▽本件譲渡担保権に基づく物上代位権の行使として、本件転売代金債権を差し押さえることができる―と説示した。
■参考:最高裁判所|債権差押命令取消及び申立て却下に対する許可抗告事件(平成29年5月10日・最高裁判所第二小法廷)
http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=86748