Weeklyコラム 終わりが良ければ


易の卦(か)に、「小狐ほとんど済(わた)らんとして、その尾を濡らす」(始めは容易でも終わりが難しいことを言う)とある(高田真治・後藤基巳訳『易経』下巻、岩波文庫)。始めは順調であった事業が、やがて困難な課題を抱えて行き詰ったりする事がある。

昭和時代の終わり頃、筆者が住む町の郊外に大型分譲地が開発されて、中心地にスーパーとそのテナント12店が開業した(和菓子・薬・酒類・惣菜等)。スーパーの前に公園やバス停もでき、数年間は地元客が予想以上に多く来店して繁盛した。バブル経済下で地価が高騰したが、高い家賃を払っても、テナントの採算性は非常に良かった。ところが、近くの生活道路沿いに大型店が次々に進出すると、分譲地内のスーパーは撤退してしまった。結論を急ぐと、この時直ちに立地変更したテナントは大きな痛手を受けず、今でも営業を続けている店舗が多い。しかし、撤退に躊躇したテナントは資金が続かず、後に廃業してしまった。

全国の同様の立地でもよく見聞する。始めが良好であればある程、悪い状況に陥っても、容易に立地変更や業種転換が出来ない。始めが順調なら、油断して商売の工夫を怠るかもしれない。後には不調の波があり得る事を予想し、経営状況を素直に受け止める覚悟が必要であろう。