Weeklyコラム 定年70歳の是非

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現在の定年(法的には65歳までの雇用継続を規定)を70歳に引上げようとする機運が高まっている。国家公務員の定年引上げ案もその一環であろう。ところで、定年を引上げる理由は何か。思いつくままに幾つか挙げてみたい。

(1)平均寿命が延びて(2016年、男性約81歳・女性約87歳)、相当多くの人が70歳くらいまで働く事を望んでいる。(2)定年後の平均余命が長くなって、より長く働き続けないと老後資金(年金や貯蓄等)が不足する。(3)日本企業全体が人手不足で、より長く働いてもらう事で労働力の充足を図る。(4)平均結婚年齢が年々高くなっている為、従来の定年までに子供の教育費や住宅ローンから解放されない可能性がある。

さて、定年が延長又は廃止になる事は、一般に幸せなのだろうか。現在の定年制度は、退職後からの平均余命が20年くらいと相当長いから、70歳くらいが良いという意見も多い。しかし、人の世話を受けずに自立した生活が送れる健康寿命は意外に短く(同年、男性約72歳・女性約75歳)、70歳定年では仕事から解放される自由な期間が短すぎるかもしれない。定年延長は単なる働き方改革ではなく、日本人の生き方ビジョンに関わる重大事である。