Weeklyコラム 現代の或る物流事情

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古来、「只今お届けします」と言って中々届けない問屋をことわざで「問屋(といや)の只今」と言った。事業者に原材料や商品等を配送する業務も増えているが、家庭等に商品を届ける宅配はさらに増えている。これまでは個人が買物をすると家まで持ち帰る事が通常であったが、通販に代表されるように、販売後の配達が急増している。

例えば、X社(食材の卸会社)の売上は近年伸びているが、日常の配送業務が予定通りに進まず、次のように物流経費が嵩んで業績が下がっている。第一に、お客様が小口配送(手持ち在庫を減らす)を望む為、売上高の割に配送頻度が高い。第二に、納品の時間指定や作業負担が大きくなり、残業時間が増えている。従業員の待遇が労働負担の割に悪い為か、人材確保が難しい。第三に、物流経費の負担率が年々上がっている。従業員が不足して派遣社員によって配送業務を行った為、採算性を圧迫している。従

来、卸会社の仕事は新規売上開拓や粗利益率管理等が重視されていたが、現代の業務は物流機能(受発注、在庫管理、ピッキング作業、配送・納品作業等)がより重要になっている。スムーズな物流の要件は多々あるが、特に人員の確保及び人材育成等、「ヒト」に関する資源を充実させる経営戦略の必要性が一層高まっている。