履歴書様式の中で、長所短所の欄が苦手だった。同じ感想をお持ちの方が多いのではなかろうか。長所を書く時は照れ臭いし、短所を書く時は評価が下がる心配をした。書き慣れて来ると、積極的に自分の強みをアピールするような内容を書いていた。
会社にも、一般に多くの長所短所が付き物である。ここで問題は、日頃経営者や管理者が主に長所短所のどちらを意識しているかである。或いは、経営改善や経営戦略等を策定する場合、長所短所どちらに視点を置いているかである。例えば、技術や人脈が充実している会社が、コスト削減(経費削減)を計画したとする。特に人員合理化による人件費削減策により、技術革新や設備増強が遅れて収益が低迷すれば、経営改善どころではない。反対に、得意な技術力や豊富な人脈を生かして収益力の強化を図れば、増えたコストを吸収出来る可能性が高くなる。要するに、何かを改善する場合、長所を伸ばす努力と短所を直す努力のどちらを優先するかということだ。
古人は「長所を友とし、短所を友とすること勿れ」と、多くの古典で教えている。通常の人は、長所は積極的かつ楽しい気分で取組むことが出来る。短所は、愉快な気分で取り組む事が出来ず、やむを得ず実行するという心境であろう。