Weeklyコラム 静かに観光する

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新型コロナの影響で、今日ほど観光業が世界的規模で危機的状況に陥ったことはない。ホテル・旅館・神社仏閣・テーマパーク・自然景観地等を始めとして、観光資源を利用する活動が一時停止してしまった。

そもそも「観光」という言葉は、『易経』の中にある「国の光を観(み)る」が出典であるとされる。その国の光輝くにぎわいを観察するというような意味である。コロナ予防のキーワード「三密対策」とは矛盾する。ところで、近年日本人の観光様式は変化していた。例えば、昭和50年代頃まで盛んであった、社員旅行・修学旅行・各種親睦旅行等の団体旅行は、年々縮小の傾向にあり、個人・家族・友人等を単位とする旅行が多くなっていた。コロナの発生は、この傾向をますます明確にしている。

今後の観光様式は他人(ひと)との交流やにぎわい感を求めるより、自分ひとり又は家族や心を許した仲間のみで静かに味わう観光旅行や各種レジャーが増加するかもしれない。観光の目的も、集団との交流より自分と身近な家族・恋人・友人等と同行して心の充実を求めるものになるであろう。結果、観光に関わる商売人の経営理念やビジョン(中心分野やサービス内容等)も、これらを踏まえた行動が求められるようになるだろう。