同族会社の借地権を巡って 「貸宅地の評価」適用-不服審

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亡父から相続した宅地の価額について、法人に賃貸しているとして借地権価額を控除した価額で申告した請求人らに対し、原処分庁が、土地の一部について「無償返還に関する届出書」が提出されており相当地代通達8を適用すべきとして更正処分等を行った事案。請求人らは、届出書には誤りがあり無効として審査請求を行った。

借り主である医療法人Fは平成9年、借り受けた土地に病院を建築。審判所は、合意に基づく届出書は有効と認められ、誤り等が見受けられたとしても、相当地代通達により評価すべきとした。一方、被相続人の妻と、子である請求人らが発行済株式の100%を有する同族会社Dは昭和55年、土地の一部に薬局を建築していた。Dは建築の際に被相続人に対し権利金を支払わず、その後平成21年8月まで地代を払っていなかったものの、長期間にわたって薬局の敷地として利用。土地の貸借で一方が法人の場合、取引は第三者間における取引と同様に経済的合理性によるべきで、個人が法人に対し建物の所有を目的として土地の使用を許諾したときに、同土地に借地権が設定されたと認めるべきとした。従って、薬局の敷地については評価通達25「貸宅地の評価」を適用すべきとして、更正処分等の一部又は全部を取り消した。

■参考:国税不服審判所|同族会社の建物の敷地について、当該会社の借地権が存すると判断した事例(各賦課決定処分・全部取消し、一部取消し、棄却・令和元年8月19日裁決)|

https://www.kfs.go.jp/service/MP/04/0702100000.html#a116_8