賞与又は賞与性の給与に該当 借入金債務の免除―最高裁

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権利能力のない社団の理事長および専務理事の地位にあった者が当該社団からの借入金債務の免除を受けることにより得た利益が所得税法28条1項にいう賞与又は賞与の性質を有する給与に該当するかどうかが争われた事案で 最高裁第一小法廷(櫻井龍子裁判長)は、該当するとの判断を示した。

その上で、該当するとしてされた各処分は違法であり、取り消されるべきだとした原判決の該当しないとした判断を破棄、各処分が取り消されるべきか否かについてさらに審理を尽くさせるため、事案を広島高裁に差し戻した。

債務免除の理由について、原審は▽同人の資力の喪失により弁済が著しく困難になったため▽同人が社団の役員だったことが理由だったとは認められない―と判断した。これに対し最高裁は当該債務免除益について、社団が自己の計算又は危険において独立して行った業務等により生じたものではなく、同人が社団に対し雇用契約に類する原因に基づき提供した役務の対価として、社団から功労への報償等の観点をも考慮して臨時的に付与された給付とみるのが相当だと指摘。社団が同人に対して多額の金員の貸し付けを繰り返し行ったのは、同人が理事長および専務理事としての職務を行っていたことによるものとみるのが相当だとした。

■参考:最高裁判所|納税告知処分等取消請求事件(平成27年10月8日・第一小法廷)

http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=85364