Weeklyコラム 余所の会社は良い

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「あの会社は優秀な社員が多い」「あの会社は先代の財産で裕福だ」「あの会社は公共団体が客で安定している」「あの会社は流行商品で景気が良い」等数え上げたら切りがないが、余所(よそ)の会社を羨む者がいる。

人には生まれつきの素質(スポーツ、絵画、話術等)や境遇(家庭の職業・貧富、兄弟の有無等)がある。同様に、会社にも創業年数、業種特性、経営体質や事業環境の違い等がある。結果、ある人が社長の地位に就いた場合、業種特性・規模・立地・財務状況の違い等により、経営が難なく出来たり、苦労の連続であったりする。さて、一般に人は努力苦労して働き、一定の成果を得るものである。他人と比較する時、成果は容易に見えるがそれまでの苦労は分かりにくいものだ。他人が得た成果だけを見て羨む事は、根本的な誤りであろう。

X社(ホテル業)のA社長は、業績が悪いのは自社に優秀な社員が少ない事と考え、不満を持っていた。そんなある日、同じ系列のY社(旅行代理業)社長に異動した。しかし、Y社の業績は良いものの業績主義で社員同士の出世競争が激しく、社員が働く喜びとやりがいを感じていない事に気づいた。A社長は考え方を改め、単に表面に現れた成果だけを見るのではなく、自社の境遇を自覚した経営方針を目指す事にした。