Weeklyコラム 逆境時の底力に気づく

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今、日本はコロナ禍による逆境の中にいる。世界中の人々も同様であろう。商売・労働・生活・医療・福祉・教育等あらゆる分野において、国民が太平洋戦争後に経験した最大クラスの逆境かもしれない。

特に、飲食店等は店舗側に何の落ち度がなくても、まるで大きな食中毒事故を起こしたような不振に陥っている。飲食業に限らず、旅館・ホテル業、旅行関連業、バス・電車・タクシー、イベント・・・と、あらゆる業種が大きな痛手を受けている。しかし、このような厳しい逆境に負けず、平常時であれば実行出来ないような工夫を次々に打ち出している事業者も大勢いる。例えば、弁当のテイクアウトやネット等を活用して調理品の配達を始めたり、レストランが料理教室を開いたりしている。

また、このような逆境は、商売等に対する障害への抵抗力を増す効用もあると思う。中国の『菜根譚』に、「人間、逆境にあるときは、身のまわりすべてのことが、はり(鍼)や薬で、それで節操をとぎ行いをみがいているのであるが、しかも本人はそれを知らずにいる」とある(洪自誠著・今井宇三郎訳注、岩波文庫)。順境の時も同様で、危機が迫っている事に気づかず怠慢な業務遂行をしてしまう。そこで、逆境の時は大きな底力を発揮出来る事に気づきたいものである。