石綿(アスベスト)の粉塵を建設作業中に吸い込んで肺がんなどの病気になったとして元建設労働者らが損賠賠償を求めた訴訟で、最高裁第一小法廷は国と建材メーカー側の責任を認める判決を言い渡した。
最高裁はこの問題をめぐる4案件を同時審理。その結果、国の責任について▽労働大臣(昭和50年当時)が建設現場における石綿関連疾患の発生防止のために労働安全衛生法に基づく規制権限を行使しなかったことは、労働者に該当しない者も含む屋内の建設作業従事者との関係において国家賠償法1条1項の適用上、違法▽厚生労働大臣(平成14~16年当時)が建設現場における石綿関連疾患の発生防止のために安衛法に基づく規制権限を行使しなかったことは、屋外の建設作業従事者との関係において賠償法1条1項の適用上、違法とはいえない―とした。
一方、メーカー側の責任について▽自らの製造販売する石綿含有建材を使用する屋外の建設作業従事者に対し、当該建材から生ずる粉塵に曝露すると重篤な石綿関連疾患に罹患する危険があること等の表示をすべき義務を負っていたとはいえない▽石綿関連疾患に罹患した大工らに対し民法719条1項後段の類推適用により、大工らの各損害の3分の1について連帯して損害賠償責任を負う―とした。
■参考:最高裁判所|石綿(アスベスト)の粉塵を建設作業中に吸い込んで肺がんなどの病気になったとして元建設労働者らが損賠賠償を求めた訴訟(令和3年5月17日・第一小法廷)|
https://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=90298
https://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=90299
https://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=90300
https://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=90301