パワハラ防止へ第一歩 大企業から防止対策義務化

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社内でのパワーハラスメント(パワハラ)が深刻さを増している。都道府県労働局に寄せられるパワハラを含むいじめや嫌がらせの相談は年間8万件を超えており、増加の一途をたどっている。

陰湿なパワハラは労働者の自殺につながるケースもあり、企業にとっても重大なリスクとなりかねない。昨年5月、改正労働施策総合推進法(パワハラ防止法)が成立した。大企業では今年6月から、中小企業では令和4年4月から事業主に対して職場におけるパワハラ防止のために、雇用管理上必要な措置を講じることが義務付けられる(現在は努力義務)。適切な措置を講じていない場合は是正指導の対象となる。現時点では罰則規定はない。

パワハラの定義は「優越的な関係を背景とした業務上必要かつ相当な範囲を超えた言動により就業環境を害すること」とされている。物理的な暴力は言うに及ばず、明らかに遂行不可能である過大な要求をしたり、能力とかけ離れた過小な要求をするなど、具体的な例が明示されている。パワハラを放置すれば社内の士気は下がる。暴力による刑事事件への発展や労働者の自殺などにつながれば企業の責任も厳しく問われる。義務化への猶予期間のうちに、中小企業でも適切な対応を検討し始めるべきだろう。