生前に退職金、遺族給付金および遺族一時金の得られる別個の基金に加入、積み立てていた母が死亡した。母は父と事実上の離婚状態にあった。
2人の間にできた子(被上告人)が、父は母の退職金等の支給を受けるべき配偶者に該当せず、自分が次順位の受給権者として受給権を有すると主張、退職金等を支払う機関側(上告人)と争っている事案で、最高裁第一小法廷は原審に続き各上告を棄却した。
上告人は中小企業退職金共済法所定の退職金共済を運営する機構、確定給付企業年金法所定の企業年金基金であるJPP基金、出版厚生年金基金の権利義務を承継した出版基金。母は死亡当時、B社従業員。B社は機構との間で母を被共済者とする退職金共済契約を締結。また死亡当時、JPP基金の加入者で、出版厚生年金基金の加入員。中小企業退職金共済法、JPP基金規約および出版基金規約は、退職金等の最先順位の受給権者はいずれも「配偶者」と定めている。
最高裁は▽民法上の配偶者は、事実上の離婚状態にある場合には、中小企業退職金共済法14条1項1号にいう配偶者に当たらない▽JPP基金規約および出版基金規約の定めの目的に照らせば、民法上の配偶者は事実上の離婚状態にある場合には、支給を受けるべき配偶者に当たらない―とした。
■参考:最高裁判所|民法上の配偶者は,その婚姻関係が事実上の離婚状態にある場合には中小企業退職金共済法14条1項1号の配偶者に当たらない|
https://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=90180