原処分庁は、請求人が生命保険会社から振り込まれた保険契約に基づく一時金及び定期支払金を含めずに所得税等の確定申告をしたことについて、請求人が十分に認識しながら申告書の作成につき、預金口座の通帳を提示しなかったことや、支払明細等を廃棄したことは、過少申告することを意図し、外部からもうかがい得る特段の行動をして、過少申告をした場合に当たるとして、国税通則法第68条《重加算税》第1項に規定する重加算税の賦課要件を満たす旨主張した。
国税不服審判所は、請求人は過去5年間のうち一度しか所得税等の確定申告をしておらず、本件申告についても税務署からのお知らせが届いたことを動機としており、遺族年金を含めて申告するなど、請求人に確定申告の経験や税務の知識が豊富にあったとはいえない。よって請求人が本件確定申告時において、本件申告の必要性を直ちに認識して、かつ申告しないことを意図していたとはいえない。
また、請求人が親族に申告書の作成補助を依頼した際のやり取りが不明であり、支払明細等を意図的に廃棄したとは認められない等、外部からもうかがい得る特段の行動をしたとは認められない。よって前述の国税通則法が規定する重加算税の賦課要件は充足しないとした。令和4年4月15日裁決。
■参考:国税不服審判所|過少に申告することを意図し、その意図を外部からもうかがい得る特段の行動が認められないとして重加算税の賦課決定処分を取り消した事例(令和4年4月15日裁決)|
https://www.kfs.go.jp/service/MP/01/0605030200.html#a127_1