観察法下の入院・医療が必要 否認した原決定取消す―最高裁

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同棲相手への傷害罪で第1審で代謝性脳症による意識障害・飲酒によるアルコール酩酊などのため心神耗弱の状態にあったと認定され、懲役3年、執行猶予5年の判決の宣告(確定)を受けた対象者について、検察官が医療観察法33条1項の申し立てをした。同法による入院決定に対する抗告の決定に対する再抗告事件で、最高裁第二小法廷は原決定を取り消し、原々決定に対する抗告を棄却した。原々審が入院決定をしたのに対し、原審はこれを取り消し、横浜地裁に差し戻した。原決定は、対象者は本件行為を行った際の精神障害が原々審の審判当時には解消しているか、していなくとも同法に基づく医療の対象でなかったのに、その治療可能性の有無を見極める必要があるとして入院決定をしたと認定。最高裁は▽アルコール依存につき原々決定の判断に誤りはない▽医療を受けさせる必要があるか否かは事案ごとに個別具体的に判断されるべき▽治療可能性に関する原々決定の判断、入院させて医療を受けさせる必要があるとした原々決定の判断はいずれも不合理でない―とし、原々決定の判断に重大な事実誤認があるとして取り消した原決定には、同法42条1項、64条2項の解釈適用を誤った違法があり、原決定を取り消さなければ著しく正義に反するとした。

■参考:最高裁判所判例集|医療を受けさせるために入院をさせる旨の決定に対する拮抗の決定に対する再拮抗事件|

https://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=90551