平成27年度税制改正に伴い法人税率が引き下げられたが、税効果会計に適用される税率については要注意だ。同税率は、期末日現在で公布されている税法規定に基づいて算定したものとされている。3月期決算会社の場合、3月末日までに改正税法が公布されているので、改正後の税率を適用するが、法人事業税の超過税率を採用する8団体のうち、東京都の改正条例だけが4月1日に公布されているからだ。
税効果会計適用の法定実効税率の取扱いについては、企業会計基準委員会が3月9日付で議事概要を公表しているが、これに従えば、東京都以外の7団体については改正後の条例に基づき法定実効税率を算定することになる。一方、東京都の場合は条例が4月に公布されたことでそのまま改正後の条例をベースに算定できない。
具体的には、平成27年度税制改正に係る地方税法等改正後の標準税率(3.1%)に、条例改正前の超過税率(4.66%)が地方税法等改正前の標準税率(4.3%)を超える差分(0.36%)を加えて算定することになり、東京都の法定実効税率のみ「33.10%」となる。このため、3月決算会社における法定実効税率算定には混乱が予想されるとともに、実務も煩雑になるだけに留意したい点といえよう。