国外転出時課税制度が7月1日から施行されるにあたり、国税庁は計46問のFAQを公表した。1億円以上の資産等を所有する居住者が、1)国外転出をする時 2)国外に居住する親族等へ資産を贈与する時 3)死亡し、相続・遺贈により非居住者の相続人・受遺者が資産を取得する時、のそれぞれにおいて詳細に解説している。
特にきめ細かく取り上げているのが、納税猶予(5年又は10年)の特例について。1)~3)いずれにおいても、課税の対象となっている有価証券等の一部を猶予期間中に譲渡、決済又は贈与した場合は、その額に応じた所得税について利子税と併せて納付しなくてはならない。ただ、譲渡価額が国外転出、贈与又は相続の時の価額より下落している場合はその下落した額で譲渡したものとして、国外転出時課税の申告をした年分の所得税を減額できる。猶予期間の満了日において価額が下落していた場合も、同様に再計算が可能。また、1)で猶予期間中に転出先の国で対象資産の譲渡等により外国所得税との二重課税が生じた場合には、外国税額控除が適用される。
なお、猶予の適用されていた非居住者、贈与者又は相続人が死亡した際には、その相続人が猶予分の所得税の納付義務を承継することになる。
■参考:国税庁|国外転出時課税制度(FAQ)|
https://www.nta.go.jp/tetsuzuki/denshi-sonota/kokugai/pdf/02.pdf