原処分庁所属の調査担当職員の調査を受けて、審査請求人が相続税の修正申告を行った。原処分庁が課税価格の計算上、債務控除をしていた借入金について、あたかも存在したかのように装って金銭借用証書を作成し、債務控除をしたと主張、
国税通則法第68条《重加算税》第1項に規定する事実の仮装行為に該当するとして重加算税の賦課決定処分を行った。請求人がこれを否認、処分のうち過少申告加算税相当額を超える部分の取り消しを求めた。
国税不服審判所は3年6月3日付で、請求人の主張を容認、重加算税の賦課決定処分を取り消した。審判所が挙げた理由は▽被相続人の土地の購入資金に係る信金からの融資が頓挫し、請求人が代わりに被相続人に対し金員を貸し付けるに至った経緯が認められ、金銭借用証書の表題に一時的な貸付であることを意味する「一時」と付されている。請求人が貸し付けをしたとしても不自然とはいえない▽暫定的に請求人から貸付が行われた可能性がある。請求人から被相続人に直接送金されていないことをもって直ちに被相続人の請求人からの借入がなかったとはいえない▽貸付について被相続人の了解を得ていたことを否定する事情もない。被相続人の請求人に対する借入金が存在しなかったとはいえない、とした。]
■参考:国税不服審判所|請求人が、被相続人の借入金が存在しないのに存在するかのように仮装していたとは認められないとして、重加算税の賦課決定処分を取り消した事例(令和3年6月3日裁決)|
https://www.kfs.go.jp/service/MP/01/0605030200.html#a123_1