Weeklyコラム 錆びない道具

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筆者は祖父から貰った懐中時計を使っている。祖父が大正時代に購入したと聞いているので、約100年前の時計だろう。今も正確に時を刻んでいる。

同様に、畑を耕す鍬(くわ)も、時々使うので何十年も錆びが出ない。また、長く使っていると愛着心を持つようになる。物事は、日々使ったり、実行したりしていると上達するだけではなく、工夫してより有効に活用する努力もする。X社(ホテル業・飲食業)は、100年以上の歴史がある老舗である。約60年前に接客・調理・衛生管理・苦情処理等のマニュアルを作成・活用し、多くの問題を乗り越えてきた。何度か大きな苦境に陥ったが、マニュアルを忠実に活用して今日まで事業が存続出来た。例えば、40年前に食中毒事故が発生した時は、マニュアルを忠実に守って、致命的な打撃を受けずに済んだ。その後、運営上大きな問題が発生するたびに、マニュアルを忠実に活用し、不都合な部分は直ちに改定した。

マニュアルに限らないが、継続して使う経営上の道具(設備や仕組みも含めて)は、日々工夫して使っているうちは錆びつく事もなく、いつまでも輝き続けるものである。原因と結果を逆に表現すれば、長期に亘って繁栄する事業体は、何らかの錆びない道具を必ず持ち続けているものである。