加須市長が国民健康保険税と延滞金の滞納処分として、上告人の預金払戻請求権を差し押さえ、取り立てた金銭を同税等に係る債権に配当する旨の処分をした。
上告人が債権は時効消滅していたなどと主張、被上告人を相手に配当処分の一部(上告人が納付義務を認めた額を超える部分)等の取り消しを求めるとともに、金員の支払いを求める事案で最高裁第二小法廷は、配当処分の取り消し請求を棄却し、金員の支払い請求に係る訴えを却下した原判決を否認。▽原判決中、配当処分の取り消し請求と金員の支払い請求に関する部分を破棄▽被上告人の控訴を棄却▽被上告人は上告人に対し58万5,600円を支払え▽上告人のその余の上告を棄却―した。
係争債権は、本来上告人が負うべきものだったが、上告人の父が世帯主として負った。ところが父が死亡し、上告人が父の債務の一切を承継。市長は上告人に対し父の滞納金の承継通知をした。原審はこれにより時効中断の効力が生ずると判断。最高裁は、被相続人に対して既に納付または納入の告知がされた地方団体の徴収金につき、納期限等を定めて納付等を求める旨の相続人に対する通知は、これに係る地方税の徴収権について、地方税法18条の2第1項1号の消滅時効の中断の効力を有しないと説示した。
■参考:最高裁判所|被相続人に対して既に納付等がされた地方団体の徴収金に関する消滅時効の中断の効力の取り扱い(令和2年6月26日・第二小法廷)
https://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=89533