国税不服審判所は、隠ぺい、仮装の事実等を認めなかった直近のケースとして「不服を申し立てた請求人が相続財産の一部株式を申告しなかったことに関し重加算税の賦課決定処分を取り消した事例」(令和4年6月24日裁決)を公表した。
今回の裁決内容を見ると、原処分庁(国税局長または税務署長)は、請求人自らが株式の銘柄、株式数等を2冊のノートに記載しながら、被相続人の相続に係る相続税の申告書に計上されなかった被相続人名義等の株式について、被相続人の相続財産である旨を十分理解していたのに、本件の税理士にこれらのノートを含む資料を渡さなかった。このため、本件株式を計上しない申告書を作成・提出させたとして、国税通則法第68条第1項の「隠蔽し、又は仮装し」に該当する事実があったと主張した。
しかし、請求人は、税理士から株式について証券会社から残高証明書等を取得して提出するよう指示を受け、その通りに提出していたため、本件株式に関して申告書に記載されていると思い込んでいた可能性を指摘。また、2冊のノートは、請求人の単なる備忘メモ的なものと推定できるとしている。このため審判所はこのケースに関し「隠ぺいし又は仮装し」に該当する事実はないと言わざるを得ないと結論付けた。
■参考:国税不服審判所|請求人が相続財産の一部の株式を申告していなかったことについて、隠蔽の特段の行動をしたと認めることはできないとして、重加算税の賦課決定処分を取り消した事例(令和4年6月24日裁決)|
https://www.kfs.go.jp/service/MP/01/0605030200.html#a127_3