「給与ファクタリング」取引は 貸金業法等の貸付けに相当

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本件取引は、労働者から賃金債権の一部を割り引いた額で買い取り、同額の現金を顧客に渡す「給料ファクタリング」と称するもので、買い戻し日が定められ、債権譲渡通知が留保されていた。被告人は、本件取引は債権譲渡であるから、その対価としての金銭の交付は貸金業法2条1項と出資法5条3項にいう「貸付け」に当たらないと主張した。

最高裁は以下のように説示。本件取引で譲渡されたのは賃金債権であるところ、労働基準法24条1項の趣旨に従えば、労働者が賃金の支払を受ける前に賃金債権を他に譲渡した場合でも、使用者は直接労働者に対して賃金を支払わなければならず、賃金債権の譲受人は、自ら使用者に支払を求めることは許されない。被告人は顧客から資金を回収するほかなかった。また顧客も、賃金債権の譲渡を使用者に知られることのないよう、債権譲渡通知の留保を希望し、自ら債権を買い戻さざるを得なかったと認められる。

本件取引に基づく金銭の交付は、それが債権譲渡の対価であり、また、使用者の不払の危険は被告人が負担するとされていたとしても、実質的には、被告人と顧客の返済合意がある金銭の交付と同様の機能を有する。本件取引に基づく金銭の交付は、前述の「貸付け」に当たる、として原判決を相当とした。

■参考:最高裁判所|債権譲渡の対価としてされた金銭の交付が貸金業法2条1項等にいう「貸付け」に当たるとされた事例(令和5年2月20日・第三小法廷)

https://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=91800