損益相殺的な調整をすべし 会社側の敗訴確定―最高裁

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急性アルコール中毒で急死したソフトウエア開発会社の社員の相続人らが、急死したのは、長時間の時間外労働等による心理的負荷の蓄積によって精神障害を発症し、正確な判断能力を欠く状態で飲酒をしたためだと主張して会社に対し、不法行為または債務不履行に基づき損害賠償を求めた事案で、最高裁大法廷は原審に続き会社側の上告を棄却、会社側の敗訴が確定した。

この事案では最高裁判例が問われた。会社側は安全配慮義務を怠り、不法行為(使用者責任)に基づく損害賠償義務を負う。遺族は労働者災害補償保険法に基づく遺族補償年金の支給を受ける、または受けることが確定。原審は同年金について、逸失利益の元本との間で損益相殺的な調整を行った。会社側はこの判断について、遅延損害金の支払い債務にまず充当されるべきだとした平成16年12月20日の最高裁第二小法廷判決に反するとして上告した。

最高裁は▽遺族補償年金は、逸失利益等の消極損害の元本との間で損益相殺的な調整をすべきだ▽同年金の支給を受けるなどした時は、特段の事情のない限り、その塡補の対象となる損害は、不法行為の時に塡補されたものとして損益相殺的な調整をすべきだ―と説示。当該最高裁判決は一部限度内で変更すべきだとした。

■参考:最高裁判所| 損害賠償請求事件(平成27年3月4日 最高裁判所大法廷)|

http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=84909